【JICA海外協力隊員 任期終了時活動報告】 宮本明徳さん ~ウガンダ農家への栽培技術普及の活動を終えて~

2024年1月29日

~ SAAウガンダ事務所では、例年JICA海外協力隊員(コミュニティ開発)の受け入れを行っています。今回、ブイクエ県ナッジャ(Buikwe, Najja)で2021年9月から活動していた宮本 明徳さんが、2年の活動を終えて帰国し、当時を振り返る活動報告を寄せてくださいました ~


 私は、ウガンダの首都カンパラから車で約1時間半の場所に位置する、ブイクウェ県ナッジャというところで、稲作農家の支援活動を行いました。活動期間は、コロナ禍の2021年9月から2023年の9月までの2年間でした。任期中、コロナの感染拡大や治安の悪化、エボラウイルスの発生など、様々な困難に遭遇しましたが、何とか無事に2年間の任期を終えることができました。

 活動では主に稲作栽培の技術普及として、条植え(田植えの時、苗を真っすぐに植えること)の転換奨励に取り組みました。任地では乱雑植え(苗をランダムに植えること)が主流だったのですが、これを条植えに転換することで除草作業など生育中の圃場管理を容易にし、結果として収量の向上を目的としていました。

葛藤が晴れた、農家からの言葉
 展示圃場を作ったり、任地の環境に合わせた農機具を作成したりと試行錯誤を重ね、規模の大小があるものの、2年間で5軒程度の農家さんが条植えの転換に成功しました。こうした活動の中で私の心に残ったことは、条植えの転換に一番熱心だった農家さんが、収穫の後で私に、「いつもよりずっと多くとれたし、米の状態がすごくいい。私はこれを続けていきたいし、周りの友達にも教えていきたい」と言ってくれたことです。

 実は条植えは乱雑植えよりも最初労力がかかります。そのため、転換に乗り気ではない農家さんが多く、彼らが本当に必要としていることはこれではないのではないか、という疑問を常に抱いていたのですが、この農家さんの言葉で少なくとも、私の活動で喜んでもらえる人がいたことがとても嬉しかったです。

地域に根付く技術に 
 私は、普及活動を行う中で常に、私がウガンダを離れた後も自分の行っている普及活動が残り続けるようにしたいと考えていました。条植えに取り組んでくれた農家さんたちにも、今は自分が教えているけど、次はあなたたちが先生となって周りの農家さんにこの技術を伝えていってほしい、といつも伝えていたのですが、実際、私が直接活動したのではない場所で条植えが行われているのを見ることがありました。熱心な農家さんが、周りの農家にやり方を教えてくれていたことを後で知りました。
 私は昨年の9月にウガンダを離れ日本に帰国しましたが、これからもこうした普及の効果が続いて行ってほしいと願っています。

自分たちの村を大切にする気持ちを育むゴミ拾い
 農家と関わる仕事の他にも、ゴミ拾いや、ビレッジセービングに参画するなど、様々な活動を行いました。ゴミ拾いの活動は、現地でボランティアにきていたドイツ人が始めたゴミ箱設置の活動に賛同する形で始めたのですが、私はごみ袋を持って地面に散らばっているごみを拾いました。外国人がその様なことをしていると子供たちが珍しそうに寄ってくるので、現地語で「手伝って!」「一緒にゴミを拾おう!」と声をかけると、みな楽しそうに協力してくれ、私たちは何日も一緒にゴミを集め歩きました。そのうち、地域の住民たちの意識も変わり、設置したゴミ箱を利用するなどの変化が見られました。

 現地の子供たちが、私と一緒に道をきれいにした経験を忘れないで、今後もポイ捨てをせず、できるときには道のごみを拾うなど、村の美化活動も続けてほしいと思います。



無我夢中だった2年間と、これから
 任期中、コロナに続きエボラウイルスや、治安の悪化、爆破テロなど様々な出来事が起きましたが、私に関しては無事にケガも病気もなく健康に過ごすことができ、2年間の任期を全うできたことを大変うれしく思います。ウガンダでJICAスタッフの皆様、ウガンダ人のカウンターパートや農家の皆様、配属先のササカワアフリカの皆様の大きなお力添えのおかげで、充実した2年間を過ごすことができました。大変、ありがとうございました。

 帰国後、将来も農業分野で国際協力を続けていきたいと思い、JICAの国内機関で農業研修に関わる仕事を始めました。農業の知識不足のために活動で困ったことがしばしばあったので、次にまた現場に行く機会があった時、そういうことのないように、しっかりと勉強していきたいと思います。


                                 END

宮本さん赴任中の活動紹介記事(2022年4月22日掲載)

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