ナサラワ州の農家グループ、バイオ炭とボカシ肥で収量と収入増を実現

ナイジェリア
2024年2月29日
Apashi Woza多目的農家組合のメンバーが製造したボカシを袋詰めする様子
Apashi Woza多目的農家組合のメンバーが製造したボカシを袋詰めする様子

ナイジェリア北中部ナサラワ州では、2つの農家グループ(①Dacewa 多目的農家組合②Apashi Woza多目的農家組合)のキャパシティ・ビルディングを通じ、農家の所得増に取り組んでいます。ボカシは米ぬかなどの有機質肥料を微生物で発酵させることで生産され、バイオ炭は作物残渣などの生物資源を材料とした炭化物です。両資材の利用は、土壌の養分利用率の向上、通気性や透水性の向上など多くのメリットが存在します。

今回、日本外務省による資金提供を受けたNGO連携無償資金資プロジェクトのもと、バイオ炭とボカシ肥に関する製造研修が実施され、農家グループは、実践的な知識と技術を学びました。更にSAAは、アフリカ開発銀行の資金提供による「気候変動に対応するための科学的根拠(エビデンス)に基づく環境再生型農業プロジェクト(PHRDG-1)」のもと、これらの農家グループが製造した2,000kgのバイオ炭とボカシ肥(166USドル相当)のマーケット構築を行いました。農家の収入源という実質的な利益もさることながら、農家自身に自立と誇りの意識が芽生え、農家グループの活性化と成長につながりました。「SAAは、バイオ炭やボカシ肥の作り方を教えてくれただけでなく、大きなチャンスを私たちに託してくれたのです」と、農家グループのアミヌ・アリユ代表は話しました。

Apashi Woza多目的農家組合のメンバー(ナイジェリア国ナサラワ州)

また、バイオ炭を施用したコメのデモ圃場では、従来の圃場に比べて収量が19%増加しました。バイオ炭は環境保全的観点からも関心が高まっており、農家間の知識の共有、収入の増加、農法改善という持続可能なサイクルが生まれています。

別の農家グループのアテベシ・ハリル・アソ代表は、バイオ炭とボカシ肥は環境保全と収量向上の2重のメリットがあると強調し、「環境を保全する利益は、経済的利益に勝るとも劣らないほど重要です。私たちは、持続可能な未来をつくる一翼を担えることを誇りに思います」と述べました。

ゴッドウィン・アサーSAAナイジェリア事務所長は、農家がバイオ炭とボカシ肥双方の生産技術を身につけることの重要性を強調し、「農家自身がスキルと自信を身に着けることがいかに重要か、このプロジェクトは教えてくれます。2つの農家グループがバイオ炭とボカシ肥を生産し利用することで、地域の農業に大きなインパクトをもたらしました」と述べました。

SAA E-Newsletter 2024年2月号「ナイジェリアのフードシステム変革に向けて」より転載

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