エチオピア・アンガチャ郡シノ・フナムラ村に住むテメスゲン・ギルマさん（30歳）は、2021年よりSAAのホスト農家となり、SAAが推進する環境再生型農業、栄養に配慮した農業、市場志向型農業を推進し、事業を大きく成長させました。

テメスゲンさんは、SAAがAmplio（NPO）と連携して普及する「トーキング・ブック」を導入したことが、知識の向上に大いに役立ったと話します。トーキング・ブックは農家を対象とした電池式の小型ラジオで、さまざまな農業技術に関する番組（適正農業規範（GAP）に基づく）が配信されます。農家が必要に応じてラジオ番組にアクセスすることで、タイムリーな農業技術普及を可能にし、テメスゲンさんのコミュニティでは、420人以上の農家がトーキング・ブックの番組を聴き、農作業の改善につなげています。

テメスゲンさんは、トーキング・ブックを通じて、堆肥作り、植え付け方法、施肥、輪作、土壌・水質保全、販売など、さまざまな農業技術の見識を深めたといいます。習得した知識を生かし、堆肥場を作り、パーマガーデンで、キャベツ、ビーツ、ニンジン、ピーマンなど多様な野菜を栽培しています。

また、多様な食生活の重要性についても学び、家族の栄養状態を改善するとともに、余剰農産物を販売することで、新たな経済的機会を獲得しています。トーキング・ブックは、土壌の健全性と生産性にポジティブな影響を与えるほか、栄養改善や収入機会の確保など、三重の利益をもたらしたと評価します。テメスゲンさんは今後も、SAAから得た知識をコミュニティと分かち合いたいと考えています。

SAA E-Newsletter 2023年12月発行「2023年を振り返って」より転載