【後編】RICCI EVERYDAY代表 仲本 千津氏 × ササカワ・アフリカ財団
近隣のものづくり工房と連携へ
SAA:ウガンダで起業し、コロナ禍においても、果敢にビジネスを展開されてきた仲本さんですが、今後の展望など是非教えてください。
仲本:今まで、自分の工房にフォーカスしてきましたが、そこで得た知見やシステムを外部に広げ、ものづくりのコミュニティーをウガンダに作りたいと考えています。コロナ禍でみんな仕事がなくなったので、ものづくりをしている近隣の方々と一緒に頑張っていきたいですね。
RICCIは幸いにも日本にお客さまがいるので、日本のお客様が好むような商品を一緒に作ることができさえすれば、こちらで販売する計画です。既に革製品やキーホルダーなどの小物を取り扱っています。
また、商品の売買だけでなく、人材のキャパシティービルディングやエシカルなものづくりを推進していきたいです。例えば、工房運営に必要なビジネススキルのトレーニングをしたり、給料や待遇の基準を設け、満たした工房とのみ契約したり。ウガンダにエシカルなものづくりのコミュニティーを作りたいですね。
そして、更にはそれがいつか、観光資源の一つになるといいなあと思っています。今、ウガンダの観光資源ってゴリラしかいないので(笑) ウガンダのナイル川畔のロッジに泊まれて、美味しいものを食べれて、近隣の工房でものづくり体験もできる!みたいなことをやりたいですね。
自分たちだけでなく、お隣りさんも
SAA:RICCIの工房だけでなく、ウガンダのものづくりコミュニティーや観光ビジネスを巻き込む壮大な計画ですね。
仲本:コロナもそうですし、このウクライナ戦争もそうですが、みんな内向き志向になってしまっています。どうしても自分の生活や家族の安全さえ守っていればいいとなりがちですが、パンデミックも戦争も、世界中に影響を及ぼすことなので、自分さえ良ければいいという考えには限界があると思いますね。だからこそ、私も自分の工房だけで、ものづくりをするのではなく、ほかの工房と連携して少しでもお金が回るような仕組みを作ることが大切だと思うようになりました。
SAA:ウクライナ戦争により、世界が分断されていくようにも見える今だからこそ、相互理解が必要でしょうか。
仲本:繋がっている感覚は大事だと思いますね。RICCIでは、日本のお客様とウガンダの女性達が文通でつながる企画をしたり、現地からインスタライブをしたり、少しでもお互い繋がっているという感覚が持てる工夫をしています。本当に草の根レベルですが、自分以外の誰かを考えるきっかけになればと思うのと、相手を知ると、情報の取り方や見方が、変わってきますね。
実現したいのは、与える/与えられる を超えたフラットな関係
SAA:仲本さんがこのビジネスをされているのは、日本・ウガンダのどっちのためと聞かれたらどう答えますか?
仲本:やっぱり一番は、ウガンダですね、結果的に日本のお客様がアフリカンプリントを見て元気になってくれたり、現地の人たちと交流することで、何か新しいきっかけづくりになると嬉しいですけが、やはり、支えないといけないのは、現地の人たち。生存できる最低限の生活さえも脅かされたりしている人々が多くいる中で、その人たちのベースアップをしていきたいという気持ちが強いです。
SAA:ウガンダのためということですが、国際協力という形ではなくソーシャルビジネスを選ばれた背景を教えてください。
仲本:一番の根本的な私の目標は、「アフリカに対する見方が変わること」「女性に対する見方が変わること」ですね。先進国側から見ても、アフリカがあこがれの国になってほしいし、みんながフラットで対等な世界を実現したい。そこを実現させるための社会実験をしているという感じです。援助業界だと、与える側と与えられる側という構造になってしまいがちですが、私が目指すのはお互いが対等な関係です。私も彼女達がものを作ってくれないとビジネスできないですし、私が仕事を取ってこないと彼女たちは作っても売れない。Win‐Winな関係を築いていきたいです。
SAA:最後に、仲本さんが走り続けられる原動力は何でしょうか。
仲本:好奇心が強いということだと思います。これまでも新しいことに挑戦すると、そこで見える景色があって、それが楽しいっていうのを実感してきました。挑戦することで生まれる化学反応を見てみたいという思いがあります。あとは、お客様が楽しんでくれたら嬉しいです。
SAA:仲本さんの今後のご活躍を期待しています。
Fin.
インタビュー:徳末明子、及川美穂、市川史帆
編集:木元典子
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