【JICA海外協力隊員 活動紹介2】宮本明徳さん~ウガンダ稲作農家に収量向上のための栽培技術を普及~
SAAウガンダ事務所では、例年JICA海外協力隊員(コミュニティ開発)の受け入れを行っています。今回は、ブイクエ県ナージャ(Buikwe, Najja)で2021年9月から活動をしている宮本 明徳さんに活動を紹介してもらいました。
ウガンダの農村で活動開始
私は、ウガンダの首都カンパラの東に位置するブイクエ県ナージャで、稲作農家の支援を行っています。活動地域の住民のほとんどが農家で、水稲の他に野菜やバナナ、トウモロコシ、キャッサバ、コーヒーなどを生産しています。作物のうち、主に米と野菜は換金用、その他のバナナやトウモロコシ、キャッサバなどは自給用で余ったものを販売しています。
稲作は、地域に点在する湿地ごとに、20~30名の農家が耕作をしていますが、農家はそれぞれ自分の畑を耕作しているためグループ内での共同はあまり見られない状況です。資材の購入、収穫物の出荷などは個人で行っています。また、農業の機械化が進んでおらず、ほぼ全ての仕事を手作業で行っているため、農家は体を酷使しています。資金不足で肥料や農薬なども十分に確保できない農家が多く見られます。
田植えの方法を転換、農機具の導入で、増収を目指す
赴任から約2か月間は複数の稲作農家の圃場を訪問し、聞き取りや農作業を一緒に行うなどして、農民のおかれている状況の把握に務めました。現在は、稲作の省力化・収量向上を目的に、栽培技術の指導普及を活動として行おうと考えています。
具体的には、田植えの方法を転換することを考えています。現在、全ての農家が行っているRandom-planting(乱雑植え)またはBroadcastingから、Line-planting(正条植え)への転換を促すことを最初の目標としています。Line-planting普及のための農機具を考案し、配属先からの資金援助を受けながら農機具の製作をするとともに、できた農機具を各農家グループに紹介して回り、農民の中から活動への協力者を募っています。
農家はLine-plantingという植え方を知ってはいますが、既存の植え方に比べてたくさんの労働が必要であるため、実践してはいませんでした。活動では、考案した農機具を持って農家を訪問Line-plantingへの転換を促しているところですが、上記の理由からなかなか理解を得られておらず、活動の難しさを感じています。今後は、Line-plantingで生産量が増えることを理解してもらうために、デモンストレーション圃場を作成し、それを見せながら転換を促していこうと考えています。
子どもも大人も家族総出で農作業、とても勤勉なウガンダ人
任地の人たちは朝から晩まで畑や家で仕事をしており、非常に勤勉な印象を持ちました。最近まで学校が閉まっていたことも関係していると思いますが、子どもも大人と同様に農作業・家事を行っており、家族全員が協力しあって生活を営んでいます。農民の多くは栽培技術の向上に意欲的で、稲作のハンドブックに記載されている情報などを伝えると熱心に耳を傾けてくれます。
外国人である自分に対しては積極的に声をかけてくれ、挨拶を返すと喜んでくれます。初対面でも金品を要求したり、待ち合わせやミーティングの約束をすっぽかしたりする人も少なくないですが、彼らは少なくとも友好的に接してくれていると思います。
課題を乗り越え、ウガンダ農家の生活向上のために
農家の約半数は現地語(ルガンダ語)のみを話すため、彼らとコミュニケーションをとるときは英語を話す農家に通訳を頼んでいます。任地には配属先の事務所は無く、カウンターパートと呼ばれるボランティアのお世話をしてくれる人も自分の店を経営しているため直接会うことはほとんどありません。活動の方向性などに悩むこともありますが、相談できる相手がすぐそばにいないことは活動の大変な部分です。
まだまだ活動がうまくいっていない部分が多いですが、農家の労働状況を改善し、収量を増やす、品質を向上させるなどして農家の収入を増やし、彼らの生活をよりよくすることに貢献していきたいです。
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