【農家のストーリー】マリの農家が目指す、より安全で持続可能な生産のための生物農薬への転換
コロニブンディオ地区の農家は、病害虫から作物を守るために化学農薬に大きく依存していました。化学農薬は効果的である反面、コストがかさみ、人々の健康や環境への影響に対する懸念が生じていました。現在、多くの農家がこれとは異なるアプローチ、すなわち地元で入手可能な原材料から作られる植物由来の「生物農薬」の導入を進めています。
SAAの戦略的アプローチ:総合的病害虫管理(IPM)と能力開発
SAAは、「気候変動に調和した持続可能な食料アグリフードシステム(CRAS)」技術の一環として、総合的病害虫管理(IPM)を推進しています。マリにおいてSAAは、指導員やコミュニティのファシリテーターを対象とした段階的な「研修講師育成研修(ToT)」を実施しています。これにより、彼らに実用的な技術を習得させ、農家に対して病害虫の発生状況のモニタリングや、耕種的防除法の統合、より安全な代替手段の活用などを指導できるようにしています。
しかし、農家が化学農薬の適切な使用方法を学んだとしても、その購入費用は依然として重い経済的負担となっています。そのため、身近にある材料で調製できる植物由来の生物農薬への関心が一段と高まっています。 この専門的な研修を受けた指導員たちは、10の村の農家に対し、持続可能な病害虫管理の解決策として生物農薬の調製・使用方法を普及させました。
生物農薬の調製に関する実技研修の後、コロニブンディオに集まった農家とCAT(村落普及員)メンバーの集合写真圃場における急速な普及と経済的負担の軽減
研修そのものを超えて最も大きな変化となったのは、農家の圃場における急速な技術の普及と、目に見える実効的な成果でした。農家からは、自家調製の生物農薬がトウモロコシ、ソルガム、野菜の畑の病害虫に対して高い効果を発揮しているとの報告が寄せられています。カシム・コン氏は、これまでは作付け期間中に化学農薬を繰り返し購入することが重い金銭的負担になっていたと説明します。地域で調製できる農薬を採用したことで、農家は作物の保護機能を高めながら、生産コストを削減することに成功しました。
コロニブンディオのCATが、生物農薬の調製方法と使用方法を実演する様子女性生産者のエンパワメントと地域保健の向上
このアプローチは、特に女性農家から高い支持を得ています。この技術を導入または試験的に導入した約265名の生産者のうち、154名が女性です。参加者からは、原材料が地元で容易に手に入り、調製方法もシンプルで費用がかからない点が挙げられました。
また、多くの農家が化学農薬への曝露(ばくろ)が減ったと報告しており、より安全な労働環境の構築と健康状態の改善につながっています。圃場での実証が成功したことで、この技術への信頼はさらに高まり、参加した10のコミュニティ全体でより広範な普及が進んでいます。
(挿入写真キャプション:より安全で持続可能な農業慣行を推進するため、生物農薬の調製と散布の実演を行うコロニブンディオのCAT)
長期的な食料安全保障とレジリエンスの推進
村のリーダーの一人によると、生物農薬の導入は、高価な外部資材への依存を減らしつつ収穫量を保護することで、地域の食料安全保障を強化しているとのことです。農家は現在、これらの技術を日常的な作物管理戦略に積極的に組み込もうとしています。
この取り組みは、地域にある資源が、実直な研修やコミュニティベースの学びと結びつくことで、いかに持続可能な病害虫管理を支えられるかを示しています。コストの削減、健康の保護、そして作物防除の向上をもたらす生物農薬は、農家がより強靭(レジリエント)で持続可能な生産システムを構築するための大きな助けとなっています。
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