【農家のストーリー】土壌から変える農業:マリ・ダクマニで実を結んだミレット増産への挑戦
土壌肥沃度と農業収量の改善に向けた堆肥化技術の強化
マリのダクマニ地区では、土壌肥沃度の低下がミレット(キビ、アワ、ヒエなどの小さな粒の雑穀の総称)農家にとって深刻な課題となっており、生産性の低下や高価な化学肥料への依存度の高まりを招いています。農家が持続可能な解決策を見出せるよう支援するため、ササカワ・アフリカ財団(SAA)マリ事務所は、土壌肥沃度と作物の生育を改善する実用的なアプローチとして、同国のティレムシ渓谷で採掘される天然リン鉱石(Phosphate Naturel de Tilemsi:PNT)を配合した有機堆肥の圃場実証を行いました。
この実証では、単に資材を投入するだけでなく、3つの村の農家に対して、栽培期間を通じて作物の生育状況を観察することを促しました。農家は異なる土壌肥沃度管理の処理区を比較し、作物の生育の勢い、結実、バイオマス生産量、そして圃場全体のパフォーマンスを注意深くモニタリングしました。
自作の有機堆肥を披露する農家たち栽培期間を通じて、生産者たちは処理区ごとの明らかな違いを目の当たりにしました。多くの農家が、PNT配合堆肥で育ったミレットは、従来の栽培方法と比べて植物の生育と実入りが著しく向上したと指摘しました。農家の一人であるカリファ・コロン氏は、処理区の作物は根がより強く張り、地元の厳しい環境において極めて重要となる乾燥への耐性が高まったと説明しました。
収穫期を迎えると、農家からはPNT配合区における穀物の品質向上と千粒重の増加も報告され、土壌修復技術への信頼がさらに強まりました。カリファ・コロン氏の圃場で観察された結果によると、対照区(従来区)の収量が1 t/haであったのに対し、PNT処理区では約1.8 t/haの収量を達成しました。さらに、未処理区のバイオマス生産量が5 t/haであったのに対し、PNT処理区では約10 t/haに達し、植物全体のパフォーマンスが明確に向上していることが示されました。
生産性の向上にとどまらず、農家は堆肥を活用した解決策の手軽さと、資材が地元で手に入りやすい点を高く評価しました。参加者の数名は、堆肥の使用によって高価な化学肥料への依存が減り、時間をかけて土壌の肥沃度が回復していくと強調しました。実証サイト全体を通じて、農家は堆肥を単なる肥料としてだけでなく、土壌の健康に対する長期的な投資としてますます認識するようになっています。
ダクマニのトウモロコシ畑で、土壌の質の改善状況を示す農家たち。この試みを通じて、農家は土壌肥沃度の改善には単一の資材投入ではなく、複数の技術の組み合わせが必要であることを理解しました。この学びは現在、次シーズンに向けた圃場の準備プロセスにも影響を与えています。
科学的な実験と農家の観察を結びつけることで、このイニシアチブは、PNTを配合した堆肥のような持続可能な土壌管理技術が、ダクマニにおけるミレットの収量増加、資材コストの削減、そして農業システムのレジリエンス向上に貢献できることを証明しています。
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