気候変動に強いアグリビジネスの促進に向けオヨ州プロジェクトを開始

ナイジェリア
2026年6月7日
2026年オヨ州での普及員研修(ToT)の一環として、イセイン地方自治体のアボケデ住民と交流するSAA職員のモシュード・スライマン博士。
2026年オヨ州での普及員研修(ToT)の一環として、イセイン地方自治体のアボケデ住民と交流するSAA職員のモシュード・スライマン博士。

ササカワ・アフリカ財団(SAA)ナイジェリアは、日本財団の支援を受け、ナイジェリア南西部のオヨ州において農業支援プログラムを正式に開始しました。2026年の栽培シーズンを控えた1週間にわたるシーズン前の普及員研修と、コミュニティへの啓発キャンペーンを通じて、小規模農家の生産性向上、食料安全保障の強化、そして気候変動に強い農業の促進を目指します。

2026年6月1日から7日まで行われた研修では、SAAナイジェリアの技術チームが、7名の農業普及員と1名の州コーディネーターに対して集中的な指導を実施し、参加コミュニティにおける土壌健康の改善、生産性の向上、そして市場統合の強化のための基礎を築きました。

ナイジェリア南西部への事業展開の拡大

研修内容は、土壌肥沃度の低下、気候変動、低生産性、限られた市場アクセス、不十分な栄養状態など、小規模農家が直面している深刻な課題に対処するために設計されました。

SAAナイジェリアのゴドウィン・アツァー事務所長は 「この戦略的イニシアチブは、ナイジェリア南西部全域における食料安全保障と気候変動に強い農業実践への差し迫ったニーズに応えるために設計されています。段階的な研修モデルを採用することで、普及員に必要な知識と技術を身につけさせ、オヨ州の対象コミュニティの何千もの小規模農家へ改良された農業技術を伝達し、持続可能な農業生産性を推進していきます」と話します。

ナイジェリア、オヨ州オヨでの普及員研修を終え、集合写真に写る農業普及員とSAA技術チーム。
ナイジェリア、オヨ州オヨでの普及員研修を終え、集合写真に写る農業普及員とSAA技術チーム。

2026年栽培シーズンに向けた普及員の育成

研修参加者は、トウモロコシ、大豆、キャッサバの改良栽培技術に加え、総合的土壌肥沃度管理(ISFM)、総合的病害虫管理(IPM)、デジタルデータ収集、圃場モニタリング、普及伝達方法に関する実技研修を受けました。

また研修では、コミュニティベースの種子増産、農産物マーケティング、バリューチェーン開発、アグリビジネス投資のためのコミュニティ貯蓄貸付組合(CSIA)、JICAが開発したが開発した小規模農家のためのSHEPアプローチなど、アグリビジネス開発を強化するためのアプローチも導入されました。これらの支援により、農家が生産性を向上させると同時に、市場へのアクセスや収入獲得の機会を増やす能力が強化されることが期待されています。

気候変動に強く、栄養に配慮した農業の推進

農業と栄養の密接な結びつきを考慮し、研修では世帯の栄養状態の改善を目指す「栄養に配慮した農業」の要素が組み込まれました。担当チームの主導により、食事の多様化、収穫後処理技術の改善、機械化、そして栄養改善や付加価値向上につながる家庭での食品加工技術を普及させるセッションが行われました。

特に、高タンパク質トウモロコシ(QPM)、多収で耐乾性・耐病性に優れるSuper SosatなどのSOSAT品種および亜鉛強化キビ品種、改良大豆品種(TGX 1448-2EおよびTGX 1951など)、その他のプロビタミンA作物など、栄養価が高く生物学的に強化された作物の栽培と消費に関する意識向上に重点が置かれました。参加者は、これらの作物がどのように栄養改善に寄与し、農村世帯の微量栄養素欠乏症の解決に役立つかを学びました。

データの質とプログラムの説明責任を強化するため、座学研修の最終フェーズでは、モニタリング&評価(M&E)チーム主導による農業コミュニケーションとデジタルデータ管理の研修が実施されました。参加者は、CAPI(コンピューター支援による面接調査)プラットフォームを用いた実技演習を通じて、電子データ収集ツールの使い方、コミュニティのエンゲージメント記録の管理、標準化された報告テンプレートの作成方法を習得しました。

さらに、研修では普及員に対し、作物収量の推定、収穫後損失の測定、世帯食事多様性スコア(HDDS)を用いた世帯の栄養状態の評価など、フィールドでの評価スキルも伝授されました。これらの能力は、実施期間中を通じて、データに基づいた意思決定と効果的なプログラム・モニタリングを支えることになります。

コミュニティエンゲージメント活動

SAAは、シーズン前研修の締めくくりとして、オヨ州の5つの地方自治体(LGA)にある7つの支援対象コミュニティで一連の住民啓発キャンペーンを実施しました。このコミュニティ活動は、現地のステークホルダーにプロジェクトを紹介し、信頼関係を築き、将来の受益者に対してプログラムの目的、利用可能な技術支援、計画されている介入活動を周知する機会となりました。

ナイジェリア、オヨ州オヨでの普及員研修を終え、集合写真に写る農業普及員とSAA技術チーム。
ナイジェリア、オヨ州オヨでの普及員研修を終え、集合写真に写る農業普及員とSAA技術チーム。

農家学習のための実証圃場の設置

SAAプログラム・オフィサーのモシュード・スライマン博士は「各コミュニティの熱意とエンゲージメントの高さは、農家に実践的な知識を提供し、実証された技術へのアクセスを与えることの重要性を改めて感じる機会となりました。次のフェーズでは、5つの地方自治体の8つの支援対象コミュニティに、計32箇所の実証圃場を設置することに焦点を当てます。これらの圃場は農家の学習プラットフォームとして機能し、参加者はシーズンを通じて、改良された生産技術、気候変動にスマートに対応する技術、そして栄養に配慮した農業を観察、テスト、導入することができます。この取り組みにより、まずは初年度に800人の小規模農家へのアプローチを目指します」と述べました。次の実施フェーズの一環として、SAAはすでに実証圃場設置のための農業資材の配布を開始しています。これは、主要作物の最適な栽培管理技術を提示し、農家の実践的な学習を促進するために使用されます。また、これらの実証サイトは、農業普及の提供、農家間での学び合い、そして持続可能な農業技術を推進するためのハブ(拠点)としても機能する予定です。

一連の活動を通じて、SAAナイジェリアは、オヨ州全域の小規模農家が生産性、生計、そして食料安全保障を向上させられるよう支援すると同時に、よりレジリエントで市場志向、かつ栄養に配慮した農業・食料システムの基礎を築いています。

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“農家と共に歩んで ―ササカワ・アフリカ財団の農業支援の軌跡―”(日本語翻訳版)

SAAの創設から現在までの歩みを記したヒストリーブック(翻訳版)です。

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