ウガンダ北東部で学校給食始動~SAAとナパック県の連携で児童と農家を支援~
ササカワ・アフリカ財団(SAA)ウガンダ事務所は、日本財団およびナパック県政府と連携のもと、2026年に学校給食プログラムを開始しました。本プログラムは、ナパック県の学校を、学び、栄養、そして地域経済を支える拠点へと発展させることを目指しています。5年間にわたるプログラムでは、教育成果の向上に加え、地域の食料システムの強化、小規模農家への支援、そしてウガンダ北東部におけるレジリエントな地域社会づくりを推進します。プログラムは、政府関係者、開発パートナー、地域リーダー、教育関係者が参加した発足式で正式に開始され、地域、県、国の協力姿勢が示されました。対象となるのは、ナパック県ロコポ、マタニ、ロペイ各郡の5つの小学校に通う約6,000人の児童です。また、約2,000人の小規模農家が契約栽培、気候変動に配慮した農業、学校と連携した食料生産システムに参加します。
学校を学びと地域経済の拠点へ
本プログラムでは、栄養価の高い給食の提供を中核に据えながら、幅広い社会的・経済的効果を生み出すことを目指しています。学校は、イノベーション、農業学習、起業家精神の育成、そして地域社会の発展を支える拠点として機能します。
SAAウガンダ事務所のロバート・アニャン所長は、この事業の対象となる学校は支援の受け手ではなく、地域を変革するためのプラットフォームであると強調し、「学校はイノベーション、学び、そしてビジネスの拠点へと変わっていきます」と述べました。
対象となっているナキチェレット小学校では、すでにキノコ栽培が教育活動に組み込まれており、児童は実践的なアグリビジネスの知識と技術を学び、教師や保護者も各家庭で実践しています。さらに、SAAはウガンダ国立農業研究機構(NARO)と連携し、一部の学校に認証種子を地域市場向けに生産するための種子生産拠点の整備を進めています。
地域の食料システムを強化
本プログラムの大きな特徴は、学校と地域の食料生産者を直接結び付けることにあります。契約栽培、気候変動に配慮した農業、学校菜園、食料生産システムの改善を推進し、農家が安定した地域市場へアクセスできる仕組みを構築します。
教育・スポーツ省学校給食事業連携担当官のアベル・ジョセフ氏は、地域調達の重要性を強調し、次のように述べました。「カラモジャの多くの子どもたちにとって、学校こそが『家』であり、学校は、給食という食事をとることができる場所なのです。」
現在、ウガンダでは国家学校給食政策の策定が進められており、安全基準や全国共通の学校給食メニューが策定されています。
ジョセフ氏は、SAAウガンダに対し国家学校給食技術委員会への参加を要請し、同団体との連携が今後の学校給食制度の構築において重要な役割を果たすとの期待を示しました。
今回のナパック県での取り組みは、これまで世界食糧計画(WFP)がカラモジャ地域で実施してきた学校給食事業の経験や教訓も踏まえています。特に、地域で生産された食料の調達、地域住民による主体的な運営、持続可能な学校給食システムの構築といった知見が、本プロジェクトページの設計に反映されています。
また、SAAウガンダは現在もWFPと連携し、カラモジャ地域の別のコミュニティで40校を対象とした学校給食プログラムを実施しており、今回のプログラムで得られたアプローチや経験をさらに多くの地域へ展開していく予定です。
さらに、本プログラムでは地域の製粉業者や食品加工業者も参画し、新たな経済機会を創出するとともに、食料の生産と消費が地域経済を基盤として行われる仕組みづくりを進めます。
栄養改善と就学継続を支援
本プログラムは、就学率や在籍継続率の低さが依然として課題となっているナパック県にとって極めて重要な取り組みです。ナパック県行政長官ロバート・アビア・オウィリ氏は、学校給食と教育、そして子どもの保護との密接な関係について次のように述べました。「飢えと人身取引の関係は決して偶然ではありません。子どもは空腹になると学校を離れます。そして学校を離れることで、人身取引などの危険にさらされるようになるのです。」
また、ナパック県LC5議長ジョン・ポール・コデット氏は、政府と地域社会の取り組みにより、これまでに路上生活を送っていた子どもの49%以上が学校へ戻ることができたと説明しました。「教育こそが社会を変える土台です。私たちは、ナパックの子どもたちを『路上で物乞いをする子ども』から『学校で学ぶ子ども』へと変えていきたいのです。」
学校給食プログラムは、こうした取り組みをさらに後押しし、とりわけ脆弱な立場にある子どもたちの出席率や在籍継続率、栄養状態、学習成果の向上に貢献することが期待されています。
地域主体の運営とレジリエンスの強化
本プログラムでは、学校と農家双方の長期的なレジリエンス強化を目指し、多面的な支援を実施します。
食料生産だけでなく、水・衛生環境(WASH)施設への投資も進められ、ナキチェレットのように水の塩分濃度が高い地域では、水質改善のため逆浸透膜浄水システムが導入されています。
SAAのジャクリン・ナムサリシ職員は、プログラム全体を通じて食品の品質と安全性を確保する重要性に触れ、保管・加工された食品のアフラトキシン汚染の防止を重視し、栄養改善効果を確実なものにしたいと話します。
また、本プログラムでは、「教育」「栄養・健康」「学校および家庭のレジリエンス」の3つの分野について進捗を継続的にモニタリングしており、地域主体による運営と持続可能性を重視しています。
カラモジャ地域の地域経済発展モデルへ
本プログラムは、カラモジャ地域が持つ可能性に着目した事業です。
ナパック県のスワディク・アングパレ副駐在行政官は、地域に対する固定観念を改める必要性を訴えました。「政府による投資によって、カラモジャ地域は観光と経済発展の拠点として位置付けられています。この地域は今、飛躍の時を迎えています。」
同氏はさらに、教育と地域経済の発展を通じて、子どもたち、農家、そして家族に新たな機会を生み出そうとする地域社会の取り組みを積極的に発信していくよう関係者に呼びかけました。
地域リーダー、政府、開発パートナー、そして地域住民による強いコミットメントは、本プログラムが持続可能な学校給食と地域社会の変革を実現するモデルとなる大きな可能性を示しています。
約6,000人の児童、そして地域農業を生計の基盤とする数千世帯にとって、本プログラムは、栄養状態の改善、教育成果の向上、地域の食料システムの強化、そしてカラモジャ地域全体のレジリエンス向上につながる道筋を示すものとなることが期待されています。
SAA 出版物のご紹介

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"Walking with the Farmer"
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アニュアルレポート
Annual Report FY2024(英)
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