【活動報告】SAAエチオピア事務所、国家農業政策への参画とデジタル・現場インフラ支援を加速

エチオピア
2026年4月15日
EIAR・ベルン大学ワークショップの参加者たち
EIAR・ベルン大学ワークショップの参加者たち

ササカワ・アフリカ財団(SAA)エチオピア事務所は、近年の幅広い活動を通じて、農業変革への貢献をさらに拡大しています。パートナーシップの構築、資金調達、政策支援、デジタル化、インフラ整備、そして知識の共有など、さまざまな分野においてSAAは役割を果たしています。農業イノベーションの普及における30年以上の経験を礎に、SAAはエチオピア全土で包括的かつ強靭な農業開発を支えるため、組織、アイデア、投資を現場の実践へとつなぐパートナーとしての活動を強化しています。

パートナーシップの強化と資金調達

近年のSAAの活動における特徴の一つは、AGRA(アフリカ緑の革命のための同盟)、SNV(オランダ開発機関)、FWGA、IFPRI(国際食糧政策研究所)といった国内外の機関とのパートナーシップを継続的に構築・強化してきたことです。これらの連携によって組織間のつながりが深まり、技術的・資金的支援が呼び込まれ、農業開発における共同行動の機会が広がっています。こうしたパートナーシップを通じ、SAAは単にプロジェクトを遂行するだけでなく、共通の優先課題や実践的な解決策を中心に、開発パートナー、政府機関、研究機関、そして農家コミュニティを結びつける役割を担っています。

国家政策および戦略策定への貢献

また、近年の活動は、エチオピアの国家農業政策や戦略の方向性に対するSAAの参画が進んでいることも示しています。SAAは、農業省が主導する「環境再生型農業戦略(Regenerative Agriculture Strategy)」や「多元的農業普及政策(Pluralistic Agricultural Extension Policy)」の策定に携わっています。この役割は、SAAの活動が現場での実践にとどまらず、同国の将来の農業変革を導く枠組みづくりを支えるまでに広がっていることを示しています。現場での実務経験をこれら国家規模のプロセスに反映させることで、SAAは、政策や戦略の策定が農家や地域の農業システムの現実とニーズに即したものとなるよう取り組んでいます。

デジタル化とイノベーションの推進

デジタル化の分野において、SAAは農業サービスや知識の提供を向上させる新しいアプローチを取り入れています。農業改革局(ATA)が主導する「OpenAgriNet」への貢献を通じて、連携、サービス提供、市場アクセスの強化につながる、相互運用可能なデジタルデータシステムの構築を支援してきました。

さらに、SAAはデジタル技術を用いた農業普及や農家とのコミュニケーションにおける経験も共有しています。特に「トーキング・ブック(Amplio Talking Book)」の活用は、農家にタイムリーで実践的な農業情報を届けるための実用的なツールとなっています。これは、長年にわたる草の根の活動と、新たなデジタルソリューションを組み合わせることで、効率性と成果を高めようとするSAAの取り組みを反映したものです。

インフラ整備と現場での実践支援

各機関とのパートナーシップは、現場でも着実に具体的な成果を結んでいます。アムハラ州において、SAAはテフとコムギの収穫後ロス削減を目指し、AGRAの資金援助による「RE-GAINプロジェクト」を立ち上げました。また、紛争の影響を受けたアムハラ州の地域では、コミュニティの回復力(レジリエンス)を強化するため、IFPRI、エチオピア農業研究所(EIAR)、FRIと連携し、気候変動に対応した農業資材や気候情報サービスの提供を行っています。さらに、SNVとの協働により、シダマ州および南エチオピア州において「RA-PURE Nexusプロジェクト」を展開しています。

シダマ州では、日本政府外務省の支援による小規模灌漑施設を地域コミュニティへ引き渡し、農業インフラを強化して、より安定した作物生産をサポートしました。これらの取り組みは、パートナーシップの構築と、コミュニティレベルでのインフラ・生産性・回復力への直接的な支援を組み合わせるという、SAAの開発アプローチに基づいています。

天皇誕生日祝賀レセプションにて、SAAの活動展示の様子。

プラットフォーム、出版物、知識共有を通じた発信力の強化

SAAは、国内・地域のプラットフォーム、ニュースレター、各種出版物を通じて、活動の発信を進めています。EIARとベルン大学が主催した国内シンポジウムでは、食料・栄養安全保障(食と栄養)に向けた30年間にわたるイノベーション普及の教訓を共有しました。また、エチオピア協同組合委員会およびアディスアベバ協同組合委員会が主催した「国家協同組合シンポジウム・バザール・展示会」では、協同組合の強化と農家中心の農業開発の推進に対するSAAの貢献を紹介しました。

「第5回エチオピア市民社会組織(CSOs)週間」への参加は、農業・農村開発に取り組む他の機関とのネットワーク構築や連携の機会となりました。同様に、「天皇誕生日祝賀レセプション」への出席は、SAAの活動をより幅広いパートナーやステークホルダーに紹介する機会となりました。

イベントへの参加だけでなく、知識製品や出版物を通じた情報発信も行っています。経済誌のニュースレター(EBR newsletter)を通じて大豆関連の支援活動を推進し、大豆が生産性、収入、そして栄養状態の改善にいかに寄与するかという経験を共有しました。さらに、トーキング・ブックの活用事例や、アボカドの収穫後ロスに関する知見を国内および地域の学術誌で発表しました。これらの取り組みにより、SAAのイノベーションに対する認識が広まり、学びが生まれ、農業セクターにおける実践的な知識を共有する活動につながっています。

気候変動対応型農業に関するIGAD・AFAASワークショップに出展時の様子

地域および国際的な学びへの参画

SAAは、地域や国際的な意見交換のプラットフォームでも活動を続けています。IGAD(政府間開発機構)とAFAAS(農業普及サービスのためのアフリカフォーラム)が開催した「気候変動対応型農業(クライメート・スマート・アグリカルチャー)」に関するワークショップや、国際協力機構(JICA)の「SHEP(市場志向型農業振興)国際ワークショップ」への参加および出展を通じて、SAAは自らの経験を共有し、教訓を交わし、他の実務者から学ぶ機会を得ました。こうした活動により、SAAの実践例が共有され、より広範な農業開発の対話における連携が強化されています。

JICA主催のSHEP国際ワークショップで活動を紹介する様子

エチオピアの農業変革における役割の拡大

総じて、SAAの最近の活動は、農業開発に対する包括的でバランスの取れたアプローチを示しています。パートナーシップの強化、資金調達、政策策定への貢献、デジタルイノベーションの拡大、インフラ整備の支援、そして出版物や学習プラットフォームを通じた成果の発信により、SAAはエチオピアの農業変革における推進組織として、今後も活動を続けていきます。

SAA 出版物のご紹介

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"Walking with the Farmer"

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ヒストリーブック

“農家と共に歩んで ―ササカワ・アフリカ財団の農業支援の軌跡―”(日本語翻訳版)

SAAの創設から現在までの歩みを記したヒストリーブック(翻訳版)です。

アニュアルレポート
Annual Report FY2024(英)

2024年度年次報告書(英文)がダウンロードいただけます。