【活動報告】SAA、北ウガンダ・アビム県とオトゥケ県に包括的な農業ハブを開設
ウガンダの農業変革は、2025年3月にアビム県とオトゥケ県で新たに「ワンストップセンター(OSCA)」が開設されたことで大きな一歩を進めました。設立されたのは、日本NGO連携無償資金協力(日本外務省)の事業を通じて建設された「アビム・ウェスト農民協同組合」と「オトゥケ町農民貯蓄信用協同組合」です。建設費は19億ウガンダシリング(約50万米ドル)を超え、5万人以上の小規模農家に対し、生産性・収益性・レジリエンス向上に不可欠な統合サービスを提供することが期待されています。
開所式はアビム・ウェスト農民協同組合で開催され、ピーター・テコ・ロケリスカラモジャ地域担当大臣が主宰。地方政府、農民協同組合、開発関係者など多数のステークホルダーが出席しました。
新たなセンターは、生産から市場アクセスまで農業バリューチェーン全体を支える“アグロ・インベストメント・ハブ”として設計されています。各拠点には穀物集荷倉庫、製粉機、農業資材店、灌漑設備、衛生施設、事務所が整備され、さらに研修施設も併設。農家は気候変動に適応した農業、付加価値の創出、ビジネス開発に関する継続的な支援を受けられます。
ロケリス大臣は「畑から市場まで必要なものが一か所に揃った包括的プロジェクトです。雨が降らなくても灌漑設備で補えます」と述べ、このプロジェクトがカラモジャ地域の貧困を緩和し、食料安全保障を高める可能性を称賛し、ナカピリピリト県のような他の十分なサービスを受けていない地域にも同様の支援を拡大するよう求めました。
SAAウガンダ事務所のロバート・アニャン所長は、「これらのOSCAを通じて、私たちはサービスを農家に近づけることで、彼らを自給自足から商業農業へ移行させることを目指しています。質の高い投入資材、機械化、貯蔵、そして市場とのつながりを利用することで、農家は収入を増やし、収穫後損失を減らし、気候変動への対応力を高められます」と、この“ハブ”の重要性を強調しました。アビム・ウェスト農民協同組合だけでも5万人以上の農家にサービスを提供し、知識、ツール、市場情報へのアクセスを可能にすると付け加えました。
SAAプログラム・コーディネーターのアンデ・オキロ氏は、この取り組みが官民地域連携(PPCP)に基づいていることを強調。「多目的農業協同組合を強化することで、小規模農家自身が変革の担い手となる包摂的成長の基盤を築いています」と、述べました。
アガゴ県のジミー・オウィニー・オピオ地区商業担当官は「この投資を適切に管理し、地域の農業革命の始まりとしなければなりません」と協同組合リーダーに呼びかけました。
アビム・ウェスト農民協同組合会長のジュリアス・アブラ牧師は、2019年に数人から始まった組織が現在3,621人まで拡大し、将来的には1万人を目指していることを紹介。トウモロコシとキャッサバ生産に重点を置き、新たな施設が地域農家にとって大きな転機になると歓迎しました。
また、オルワミュゲのLCIII(地方評議会第三級)議長デニス・オドン氏は「2020年には数トンのトウモロコシを集荷しましたが、適切な保管ができずすべて失ってしまいました。この投資で状況は一変します。農家は安心して商業的に作物を栽培できるようになりました」と過去の課題と改善を振り返りました。
SAAは今後も農業バリューチェーンの強化とウガンダ政府の開発優先課題への支援に取り組み、小規模農家を持続可能な農業変革の中心に据えるイノベーションを拡大していく計画です。
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