地域を変える力:マーガレットさんの農業を通じた経済自立と栄養改善

ウガンダ
2024年12月4日

農業で特に注目したのが、需要の高いスイカの栽培です。彼女はスイカの販売を実現するために、SAAに協力を依頼しました。SAAは、スイカ栽培に必要な灌漑設備の導入と運用面をサポートし、水坑の掘削、ポンプやパイプの準備などドリップ灌漑システムの初期費用の50%を負担しました。また、機器の使用方法や保守に関する研修も提供し、持続可能な運用を確立しました。

灌漑設備を導入したマーガレットさんは、4エーカーのスイカ農場で生産性を大幅に向上させました。1回の収穫につき2,500個のスイカを生産しており、重さは約5kgあります。1kgあたり0.14米ドルで販売し、1回の収穫につき約1,688米ドルの売り上げを上げています。彼女のスイカはカンパラのナカセロ市場やケニアのバイヤーからも高い評価を受け、地元経済や国境を超えた貿易の活性化に寄与しています。マーガレットさんの成功は雇用の創出にもつながり、収穫期には、地元の若者10人が1日1.35米ドルの賃金で働いています。

さらに、収入の多様化を目指して、SAAの栄養に配慮した農業の研修で学んだ知識を活かし、食品加工や付加価値創出にも取り組み始めました。例えば、大豆粉、トウモロコシ粉、雑穀、セイヨウシミ(Silverfish)を組み合わせた「栄養価の高いお粥」を1日に40袋生産し、1袋1.35米ドルで販売して54米ドルを稼いでいます。また、トウモロコシ粉やキャッサバ粉を使ったお菓子の製造にも取り組み、1日60米ドルの収入を得ています。このように収入源を多様化させた結果、家族の教育や医療、栄養を充実させるだけでなく、リラ市に購入した土地で賃貸アパートを建設するという新たな夢も実現しつつあります。「私自身がここまで来られたことを思うと、この地域の他の女性や農家にも無限の可能性があると信じています」と彼女は笑顔で語ります。

マーガレットさんの栄養改善への取り組みは、地域全体にも影響を与えています。彼女はオトゥケ県の「ワンストップ栄養モデル」のホストとして、地域住民にバランスの取れた食事や家庭菜園の実践方法を教えており、その結果、同県の5歳未満の子どもの栄養不良が大幅に減少しました。

マーガレットさんの成功は、女性農家が適切な支援と知識を得ることで、経済的な自立を達成し、地域社会に大きな変化をもたらせることを示しています。環境再生型農業や市場志向型農業、さらには栄養改善を組み合わせた複合的なアプローチが、家族の生活を豊かにするだけでなく、地域全体の持続可能な発展を牽引する可能性を証明しました。彼女の物語は、限られた資源を有効活用しながら未来への道を切り開く成功例として、多くの女性農家や地域社会に勇気とインスピレーションを与え続けています。

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