農業普及のデジタル化と官民パートナーシップの可能性

ナイジェリア
2024年12月4日
官民パートナーシップによるデジタル農業普及システム推進協議 ローンチ・ワークショップ
官民パートナーシップによるデジタル農業普及システム推進協議 ローンチ・ワークショップ

2024年11月7日、ササカワ・アフリカ財団(SAA)は、「ナイジェリアの官民パートナーシップ(PPP)によるデジタル農業普及システム推進協議(A Consultative Engagement Exercise for a Product Profile Design for Nigeria’s Public-Private Partnership Digital Extension Delivery System)」プロジェクトのローンチ・ワークショップを開催しました。同イベントでは、ナイジェリアのデジタル農業普及における持続可能な官民パートナーシップ(PPP)モデルを確立することの必要性が強調されました。

本プロジェクトは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の支援を受け、オヨ州、ゴンベ州、カドゥナ州にて、ジェンダー平等の推進や気候変動への耐性強化を図りながら、小規模農家のニーズに応えるデジタルソリューションの調査・開発が進められています。プロジェクトは、農業普及サービスのためのアフリカフォーラム(AFAAS)、AGRA、サヘル・コンサルティング、アフリカ・プラクティスなどのパートナーと共に実施されています。

ワークショップでは、連邦農業改良普及局のアデオラ・ロードバンジョ博士が開会挨拶を行い、次のように述べました。

「ナイジェリアでは、以前は500人の農家に1人の農業普及員が配置されていましたが、現在は1万人に1人という深刻な状況です。普及員が農家に研修を行って、フォローのために農家を訪問するという従来型の農業普及手法は効果を失いつつあります。これを受け、政府はICTを活用した国家農業普及政策(NAEP)を導入し、デジタル技術を統合した農業普及支援を進めています。本プロジェクトは、その実現に向けた大きな一歩です。」

SAAのゴドウィン・アサーナイジェリア事務所長(左)と農業普及サービスのためのアフリカフォーラムナイジェリア支部(NIFAAS)のトログボンセ前会長(右)

AFAASのシリム・ナディ会長は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が小規模農家向けデジタルソリューションの普及を支援していることに触れ、次のように強調しました。

「デジタル農業サービスを統合し、農家が利用しやすい形で提供することが重要です。また、持続可能なPPPモデルを通じて、民間部門や公的機関、農家団体がどのように連携していくべきかを検討することが求められます。さらに、構築されたプラットフォームの維持や既存ソリューションの拡張について、民間部門がどのように関与できるかを明確にする必要があります。」

SAAのゴッドウィン・アサー事務所長も、デジタル化の推進には縦割りを排し、協力体制を築くことの重要性を訴えました。「このプロジェクトでは、小規模生産者のニーズに基づき、民間部門が投資に踏み切れるようインセンティブを明確にする研究を進めています」と説明しました。

今回のワークショップを通じて、デジタル農業普及における課題や機会が整理され、持続可能な官民連携モデルの構築に向けた期待が高まっています。

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