地域の農業機械メーカーを育成し、収穫後ロス削減を目指す
2024年11月10日~21日、ササカワ・アフリカ財団(SAA)ナイジェリア事務所は、小型農業機械の現地生産と普及を目指し、ナサラワ州の20人の農業機械の製造業者に対し、脱穀機製造の技術研修を実施しました。これは、「アフリカの気候変動に対応するための科学的根拠(エビデンス)に基づく環境再生型農業プロジェクト」の一環で、農家の重労働の軽減、収穫後ロスの削減、食糧安全保障の向上を目指す取り組みです(同プロジェクトは、日本政府がアフリカ開発銀行を通じて設置・支援する「開発政策・人材育成基金(PHRDG)」より資金提供されています)。
研修は、ザリアにあるアフマド・ベロ大学 農業研究所の農業機械化・バイオリソース工学部にて、カノ州35人の製造業者を対象に実施されました。同研修の3か月前には、ナイジェリア国立農業機械化センター(NCAM)で、2023年にも同様の研修が行われ、45人が同様の研修を受講しています(カノ州農牧畜開発プロジェクト(KSADP)の一環として)。
本プロジェクトは、ナサラワ州のラフィア、オビ、ケフィ、ナサラワ・エゴン地区の地元の製造業者の育成を通じて、費用対効果に優れた農業機械を導入することで、地域の課題解決に取り組んでいます。参加者は、農業機械の購入や維持にかかる高コストを削減し、小規模農家が新しい農業技術を導入するために不可欠な技術や知識を習得します。
SAAのゴッドウィン・アサー事務所長は、開会式で「この取り組みの影響は農業だけにとどまらず、地域経済にも良い影響を与えます」と述べ、地域の農業機械の生産体制を確立することで、コミュニティ内に雇用機会を生み出し、地域経済が強化されると説明しました。
同氏はさらに、本研修は地域の課題解決を通じて地域社会を支援するSAAの取り組みを説明し、「地域の製造業者に学ぶ機会を提供し、農家が簡単な機械を利用できるよう支援しています。農家の生産性向上、収穫量の最大化、収穫後ロスの最小化に役立つ農業機械を地域の技術者が製造・メンテナンスすることが可能となります。それは、食料と収入の安定した農家を増やすという私たちの願いです」と話しました。
アフマド・ベロ大学 農業研究所のアド・ユスフ教授は、SAAを「シンプルな機械化を通じてナイジェリアの農家に収穫後のソリューションを提供する優れたパートナー」と評価し、研修内容について、溶接方法や金属切断、設計図の読み方、結合技術、材料選定、道具の取り扱い、安全管理などをカバーしていると説明しました。
参加者の一人、ラフィア地区のウスマン・ジブリンさん(28歳)は、「この研修に参加できたことに感謝しています。私の地域では、収穫作業が長引くことで穀物の一部が傷み失われてしまいます。今回研修で学んだ知識と技術を活かして、脱穀機を製造し、近隣農家の支援を始めたいと思います」と意気込みを語りました。
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