キハンダ・トゥコレニェンタ・農家グループの大きな変化
ウガンダの中心部、見渡す限り肥沃な畑が広がるムバレ県キハンダ・セントラルの女性たちは、農作物を育てるだけでなく、希望とレジリエンス、そして変化を育んでいます。これは、女性が主導となりながら、あらゆる困難を乗り越えて開花し、コミュニティに大きな変化をもたらした、キハンダ・トゥコレニェンタ農家グループの物語です。

SAAの栄養に配慮した農業（NSA：Nutrition-sensitive Agriculture）プログラムへの参加
2017年、キハンダ・トゥコレニェンタ・農家グループは、必然的かつ先見性から生まれました。64歳で不屈の農家であるモーリーン・カミルーさんが率いるこのグループは、わずか7人のメンバーと19米ドルのささやかな貯蓄で始まりました。彼女たちの住むイシンギロ地区は、貧困率が高く、飢餓や、栄養不良の問題が蔓延していました。

2021年、モーリーンさんは初めてササカワ・アフリカ財団（SAA）のことを知りました。SAAの「栄養に配慮した農業（NSA）」プログラムは、農業、栄養、経営管理に関する女性の知識と技術を向上させることで、地域社会を力づけることを目的としていました。モーリーンさんは、SAAの総合的な研修に参加し、農法の改善や、環境再生型農業（Regenerative Agriculture）、栄養とジェンダー教育、そして生物学的栄養強化作物（Biofortified Crop）の付加価値向上などを学びました。
「完璧なタイミングでした。」とモーリーンさんは振り返ります。「SAAはグループ結成を奨励しており、新しく結成された私たちのグループは、これから成長を目指していく理想的な状態にありました。SAAの支援により、7人だったメンバーは20人（女性15人、男性5人）にまで増えました。」

グループのメンバーにトレーニングを行うモーリーン・カミルーさん

生活に生じた大きな変化
モーリーンさんのグループは、環境再生型農業を用いて、ビタミンＡを多く含む生物学的栄養強化作物であるオレンジスイートポテト、鉄分の豊富な豆類、そしてさまざまな野菜など、栄養価の高い作物の栽培について学び、また、在来種と改良品種の野菜の両方を使ってキッチン・ガーデンを作りました。これらの新しい技術によって、収穫量が向上しただけでなく、食生活が多様化し、健康全般が大幅に改善されました。
研修の最も大きな効果一つは、波及効果です。新しい知識を得たモーリーンさんは、仲間のグループメンバーにトレーニングを行いました。60歳の会計担当ジョセリン・トゥシビラさんは、グループが銀行口座を開設し、貯金が19米ドルから1,460米ドルに増え、1,062米ドル以上がメンバーに融資されたことを誇らしげに話します。

SAAは、グループにパンの製造技術を教え、スタートアップ・キットを支給しました。彼女たちはウェディングケーキやショートケーキ、カップケーキの製造を開始し、地元の学校にスナックを供給して安定した収入源を生み出しました。2022年までに、グループは目覚ましい変化を遂げました。彼女たちはクロイラー鶏を購入し、雛をメンバーに配布しました。64歳のメンバー、ジェーン・ワスワさんは、卵と鶏を売って得た収入でヤギを購入しました。「たった4羽の雛から始めて、今では12頭のヤギを飼っています。私の生活は大きく改善されました。」と彼女は語ります。

他のグループへの成功の伝播
グループの影響は個人の成功にとどまりません。彼女たちは健康的な生活、栄養、衛生について地域社会に指導を行い、他のグループに製菓ビジネスの始め方を教え、知識と希望を伝播しています。
キハンダ・トゥコレニェンタ・農家グループは、「栄養に配慮した農業」を「環境再生型農業」およびビジネス管理スキルと組み合わせることで、いかに大きな変革をもたらすことができるかを実証しています。