農村コミュニティの持続可能性を支える金融サービスの基盤構築

ウガンダ
2024年4月22日
コレ県のCSIA研修で、資料を確認する参加者たち
コレ県のCSIA研修で、資料を確認する参加者たち

小規模農家の金融サービスへのアクセスは、貧困の削減、コミュニティ開発の促進、SAAが普及する改良技術の採用といった点でカギとなります。SAAは、「農業への投資のためのコミュニティ貯蓄組合(CSIA: Community Savings and Investment in Agriculture)」の取り組みを通じ、経済的・社会的弱者を含む草の根レベルの貯蓄グループを形成し、資金的・社会的側面から小規模農家のエンパワメントを促進しています。

CSIAは、農家が地域において、金融サービスへアクセスすることを可能にし、貯蓄や投資機会を得ることで、生計の向上を目指す取り組みです。短期的な個々の経済的ニーズに対応するだけでなく、農村地域の金融基盤を構築し、持続可能な経済発展を目指します。

同取り組みの一環として、SAAウガンダ事務所は2024年2月、ムベンデ、キボガ、オトゥケ、コレの4県で、CSIAモデルをベースとした貯蓄グループの設立、農家グループのリーダーと普及員を対象とした研修を実施し、現地ニーズに合わせた金融支援、参加農家のオーナーシップ、長期的な投資を見据えた戦略などのトレーニングを提供しました。ウガンダでは、2020年よりCSIAの取り組みを推進しています。

研修には、4県から68名の農家リーダーや普及員が参加しました。参加者は、CSIAハンドブック、講義やケーススタディ、グループワークなどを通じて、アグリビジネスへの投資の最適化やグループ貯蓄の管理/運営に必要な知識を学びました。SAAでは、地域の金融システムを構築/普及することで、農家がいかなる経済環境の中でも生活できるよう、持続可能な農業モデルの構築を支援しています。

オトゥケ県のCSIA研修の様子(ファシリテーターを務めるのは、SAAのアンデ・オキロ職員)

本研修でファシリテーターを務めたSAA職員アンデ・オキロ(市場志向型農業コーディネーター)は、CSIAは、「未来の成功のタネをまく」活動であるとし、将来の経済的安定を見据えた勤勉な労働と貯蓄の重要性を強調しました。

また、オキロ氏はCSIAを湖に例え、湖が水位を維持するために源となる川を必要とするように、CSIAの持続的な繁栄には養鶏、農業、畜産など湖でいうところの「川」となる収入源が不可欠であると述べました。CSIAの持続可能性と成長を確実にするため、最も実りある「川」、つまり収入源を特定し、発展させるよう推奨し、同概念を理解することで、貯蓄グループの効果的な管理、資源の分配、利益の最大化が可能となると述べました。

研修を通して参加者は、収入の制約、生活費の上昇、予期せぬ出費など、貯蓄を減少させる課題を特定しました。これに対し、オキロ氏は、予算編成、債務管理、緊急資金の設立など実践的な解決策を提案しました。「研修では、実践的なアプローチを学ぶことができ感謝しています。研修のおかげで、家計をよりよく管理し、将来の計画を立てることができるようになりました」とキボガ県の農家グループのリーダー、クリスティン・ナムテビさんは話します。

ムベンデ県の研修で、CSIAの役割について説明するSAAのアンデ・オキロ職員

SAAは、農業普及員とともに地域の農業推進員(CAT・CBF)を対象とした次の段階の研修を実施する予定です。金融へのアクセスと能力開発が農村コミュニティの持続可能な繁栄の柱であると認識し、彼らが必要な知識や手段を身につけることで生活の変革を支援しています。

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