エチオピア事務所が栄養に配慮した農業モデルビレッジ(NSAモデル村)を設立
ササカワ・アフリカ財団(SAA)は、エチオピアSNNP州アンガチャ郡およびオロミア州アナ・ソラ郡に、栄養に配慮した農業の模範的な学習/実践を想定した「栄養に配慮した農業モデルビレッジ(Nutrition-Sensitive Agriculture Model Village: NSAモデル村」を開設しました。本イニシアチブは、食料安全保障に不可欠な要素(入手可能性、アクセス可能性、利用性、安定性など)を包含し、コミュニティ内で栄養バランスのとれた食生活を促進する環境の構築を目指すもので、エチオピア農業省 食品栄養局と連携し推進してまいります。
SAAは、2つのNSAモデル村がその認定基準を2025年末までに達成するための支援を行っており、2022年から、パーマカルチャー菜園の設置や、各種研修(環境再生型農業、農産物加工、栄養、マーケティング分野)の実施、脱穀機や密閉式穀物貯蔵袋(PICSバッグ)等のポストハーベスト技術の普及を行ってきました。また、エチオピア農業省 食品栄養局と共同で実施する計画・実施・モニタリングを通じ、課題の特定と改善を行い、NSAモデル村の確立に向けた包括的アプローチに取り組んでいます。
様々な公的機関の参画と取り組みに対する評価
2023年12月、NSAモデル村を開設した2か所の村(アンガチャ郡ケレキチョ地区ワングラメ村およびアナ・ソラ郡R・ボダ地区ハロハルシ・フラ・ハンク村)にて設立記念イベントが開催され、食品栄養局長、中央エチオピア州およびオロミア州職員、ケンバタ県およびグジ県職員などが出席しました。また、地区の農業、保健/衛生、女性/子ども局職員も出席し、同プロジェクトに対する幅広い関心が示されました。
農業省のアレムツェイ・セルガウィ食品栄養局長や、オロミア州農業局のシェムシヤ・カヨ食品栄養局長らは、NSAモデル村の取り組みを高く評価し、今後、同村がその認定基準を満たすことができるよう、協力・支援することを約束しました。
栄養に配慮した農業モデルビレッジ認定基準
同ビレッジは、以下の認定基準を満たす必要がある。
2. 全世帯において、果物、野菜、家禽/小動物の飼育、および豆類の自家生産が行われている。
3. 各世帯が、6つの基礎食品群のうち少なくとも4つ(動物性食品を含む)を消費している。
4. 各世帯における食品多様性の改善経過が記録されている。
5. 各世帯が少なくとも1カ所の水場を確保している。
6. 各世帯で少なくとも1つの生物学的栄養強化作物を栽培/消費している。
7. 各世帯の農作物栽培において、農薬適正使用量が順守されている。
8. 各郡/地区においてNSAモデル村を支援する学際的チームが配置されている。
9. NSAモデル村のための財源が確保されている。
10. ビデオ授業などICTを活用したコミュニケーションが整備されている。
11. 少なくとも1つの収穫後処理・加工技術が導入されている。
12. 調理実演など知識共有の場が設けられている。
13. 伝統的なものでも健康を害する食習慣は排除する。
社会的・行動的変容の重要性
セルガウィ食品栄養局長は、社会的・行動的変容の支援策を統合する重要性を指摘し、特に、炊事や就寝の場所から家畜を分離するなど居住空間の改善を強調しました。社会的・行動的変容への支援は、持続可能で健康的なコミュニティを構築するという意味においてSAAの活動目的にも合致します。
多様な関係者の参画
設立記念イベントには、200人の女性を含む510人が参加しました。また、計画策定プロセスには、52人の専門家(うち14人は女性)が参画し、女性や専門家を含む多様な関係者のコミットメントにより形成されたイニシアチブとなりました。
エチオピアにおけるNSAモデル村の立ち上げは、持続可能な農業と栄養改善の実現に向けた画期的な一歩であり、同地域における先進的事例となることが期待されます。
SAA 出版物のご紹介
E-ニュースレター
"Walking with the Farmer"
SAAの活動動向をレポートしたE-ニュースレターを隔月で発行しています。
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サクセスストーリー
Voices from the Field Special Edition 2022
「現地からの声」の記事を特別編集版としてまとめました。