ササカワ・ラジオを聴いて生産性が向上~エチオピア農村部の農家の声~
「この3年間、ササカワ・ラジオが配信する栽培技術や病害虫管理の番組を聴いて、農業に関する知識が大きく進歩しました」と、農村に住む農家は話します。
「ササカワ・ラジオ」とは、農家がトーキングブック(TB)を指す言葉で、エチオピア遠隔地の識字率の低い農家にも農業技術を普及するためSAAがAMPLIOと共同で導入しました。
TBは、農業技術を提供するラジオとして機能するだけでなく、農家からのフィードバックや利用データを収集し、SAAがほぼリアルタイムで番組を修正するなど双方向のコミュニケーションが可能です。遠隔の農村部でも農家が利用できるようインターネット接続を必要とせず、乾電池で利用できます。
2020年に開始した試験的取り組みでは、南部諸民族州アンガチャ地区とオロミア州アナソラ地区の1,260人(20~30%が女性)の農家を42グループに編成し、環境再生型農業、栄養に配慮した農業、市場志向型農業にかかる16番組をTBに録音して提供しました。その後のモニタリングによると、総合的病害虫管理(IPM)にかかる番組が最もよく視聴されており、次いで収穫作業、総合的土壌肥沃度管理(ISFM)の順に人気がありました。IPMでは、病害虫や雑草の抑制管理に農家の関心が最も高いことが分かりました。収穫作業の番組では、作物の品質管理を伴う収穫技術を提供し、ISFMの番組では、緑肥、堆肥化、石灰の散布、間作、土壌管理、土壌分析などにかかる知識を農家に提供しています。
2022年8月現在、2,498人(女性728人)の農家がTBを通じて農業番組を聴いています。「ササカワ・ラジオがあれば、農業普及員の訪問頻度が少なくても大丈夫かもしれない」と、ある農家は話します。SAAのTB推進は、自己学習型のデジタル技術が、遠隔の農村コミュニティにリーチし、農業改良技術や実践方法を多くの農家に届ける可能性を示しています。
SAA E-Newsletter 2023年5月発行 エチオピア特集号より転載
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