地域内の種子増産モデルを普及しアグリビジネスへ発展

ナイジェリア
2023年1月30日

ナイジェリア・カノ州クラ地区チロマワは、米の生産と加工が盛んな米どころとして知られています。しかし、農家が収穫量を増やすには、改良種子へのアクセスが不可欠です。

イスラム開発銀行が資金支援する「カノ州農牧畜開発プロジェクト(KSADP)」の一環として、SAAナイジェリア事務所は、2022年の雨季、農村コミュニティが持続的に改良種子を増産できるよう地域ベースの種子増産モデルの普及に取り組みました。同モデルの普及により、早熟で病害虫に強い高品質の種もみを、地域内で入手できるようになりました。

アルハジ・ババンギダ・クラさんは、SAAが普及する種子増産モデルの恩恵を受けた農家の一人です。「私のコミュニティで使用していた品種は、収穫量が少なく、成熟期間が長い上、病害虫の影響を受けやすいものでした。SAAから高品質の種もみと投入財を入手できとても助かっています」と述べました。クラさんは、稲作の改良技術にかかる研修(植え付け、施肥、病害虫コントロールなど)を受講し、米の生産量をほぼ倍増させました。従来のやり方では4.0トン/haの収穫量であったのに対し、改良品種と技術を用いた結果、7.8トン/haに増加しました。

また、クラさんは、SAAの支援を受けて良い販売先を見つけることができました。自ら生産した種もみを(6.0トン)を民間種子会社「Premier Seeds Nigeria Ltd.」に約3500米ドルで売却し、その収益で、農業用の土地を新たに購入しました。彼は現在、同種子会社に正式に登録された種苗生産者となり、地域の農家が高品質の種子を入手できるよう貢献したいと希望に満ちています。

コミュニティベースの種子増産モデルは、ナイジェリアの国家種子委員会により品質管理され、コミュニティにおいて農家が持続的に改良種子にアクセスできる仕組みが整備されています。

SAA E-Newsletter 2023年1月発行 市場志向型農業号より転載

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