障碍者のエンパワーメント ~路上生活から自立した生産者へ~
ナイジェリアを含むアフリカ諸国では、障碍者の多くは資源に乏しく、物乞いに頼る路上生活を送る人が少なくありません。2018年、SAAナイジェリア事務所は、ナイジェリア北西部カノ州のトゥドゥン ワダ コミュニティーで、障碍者のエンパワーメントを目的とした活動を開始しました。
SAAナイジェリア事務所は、トゥドゥン ワダ障碍者協会の組織化を支援し、適正農業規範(GAP)、グループダイナミクス(集団力学)、企業経営、アグリビジネス、市場アクセスにかかる研修を、同協会メンバーを対象に行いました。また、それぞれが農業に取り組めるよう圃場と農業資材を提供しました。
初年度の研修後、同協会は0.25haを耕作し、トウモロコシを1.2トン、合計12袋収穫し、すべて販売することができました。その後の作付けシーズンには、耕作面積を0.5ha、1haと拡大しました。
かつてSAAの農産物トレーダーを努めたムハマドゥ・ヤロ・トゥドゥンワダ氏は、SAAの本支援について、トゥドゥン ワダ障碍者協会メンバーを路上の物乞いから農村コミュニティーで活躍する地域推進員に導いたと評価し次のように話します。
「この取り組みが成功事例となり、トゥドゥン ワダとドグワに第二の障碍者グループが設立されました。2018年にSAAの支援が始まり成功を収めると、翌シーズンは圃場の規模を拡大し、それが継続的な成長プロセスを導きました。メンバーは、農産物の販売で得た利益で小さなビジネスを立ち上げ、彼らの妻をも勇気づけました。今では、メンバーとその家族は物乞いを卒業し、経験豊かな農家になっています。この変化を目の当たりにし、とても嬉しく思います。」
同協会会長のハリド・ムハメッド・トゥドゥンワダ氏は、「私たちは、物乞いを辞め、農家や小商人として成功を収めました。グループで協力して作物の生産、貯蔵、低金利融資を行っています。最近は障碍をもっていない地域の人も、私たちの協会に融資を求めてくるほどです。私たちは物乞いをすることなく、家族を養うために十分な資金を確保できるようになりました」と話します。
そして、「SAAは、グループで協力することの大切さを教えてくれ、私たちは自信を取り戻しました。もう社会の部外者ではありません。子どもたちを学校に通わせるために、一生懸命働いています」と続けました。
SAA E-Newsletter 2023年3月発行 ナイジェリア特集号より転載
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