エチオピアで促進される減耕起

エチオピア
2023年5月19日
「ベルケン・マレシャ(Berken Maresha)」の使用方法を研修する様子
「ベルケン・マレシャ(Berken Maresha)」の使用方法を研修する様子

耕起は従来、透水性と保水性のある土壌構造を構築する重要な農作業と考えられてきました。しかし、頻繁な耕起は、土を圧力で固め、浸食を引き起こし、土壌肥沃度を劣化させる恐れがあります。また、時間と労力を要するとともに道具や機械も必要になります。

紀元前100年頃にエチオピア北部の高地で始まった牛耕農法では、12回にも及ぶ耕起を縦横に繰り返し、土壌を耕していました。「マレシャ(Maresha)」と呼ばれるエチオピアの伝統的なプラウ(鋤)を使うとV字型の溝ができるため、一方向の耕耘では耕し残しがうまれ、農家は十字に耕耘を繰り返してきました。しかし、耕起の必要性は、アグロエコロジーや作物によって異なります。

環境再生農業の取り組みの一環として、SAAエチオピア事務所は、「ベルケン・マレシャ(Berken Maresha)」と呼ばれる新しいタイプのプラウ(鋤)を使い、普及員や農家が不耕起または減耕起栽培を実践できるよう研修を提供しています。ベルケン・マレシャは、中央のプラウで線上に深い谷をつくり(固まった地層を壊し)、両サイドで浅く耕すことができる保全型の耕耘機具で、耕耘回数を削減し、透水性の向上や雑草の抑制を期待できます。

アムハラ州メケット郡コキット村での直近のモニタリングによると、SAAのホスト農家は、減耕起のメリット学び、小麦では1~2回、そら豆では0~1回に耕起が削減されています。農家は、「減耕起が作物にとって良いことだと分かったので、喜んで受け入れています」と話しており、不耕起や減耕起に対し、農家から異論は出ませんでした。

減耕起の普及に対する農家の積極的な受け入れ姿勢は、農家が減耕起のメリットを理解し、また、望んでいたという潜在的な意識が明らかになりました。SAAは、今後も減耕起などの持続可能な農法の普及に取り組みます。

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