“伝統的に作っていた品種では、もう気候変動に対応できません”
サハラ砂漠地帯に広がる多くの村と同様に、気候変動はマリのダコウマニ村にも大きな影響をもたらしています。ダコウマニ村では、予測不可能な降雨の変動のために地域の種が徐々に消滅し、収穫量の減少が起きています。この問題に対応するため、SAAマリ事務所(SG2000マリ)は、農作物生産性向上事業(CPE)の活動の一環で、2018年に気候変動対応型農業(CSV)モデルの普及を行いました。具体的には、約10村を束ねるダコウマニとゲセボウゴウの農作物収穫後処理・取引センター(PHTCs)の約600名の農村の人々に対し、気候変動に対応した40種類の農業技術の実演が行われました。
気候変動対応型農業モデルでは、高収量の早生種の導入や、発芽前の種子のプライミング処理等を含む、水の管理手法の紹介を行うほか、全国の気象サービスからの気象情報のモニタリング、そして輸入品に頼らず、国内で生産された無機肥料やリン酸肥料を多く使用することによるCo2排出の緩和に取り組んでいます。
ダコウマニ農作物取引センターの一員であるキネ・ソゴバさんは、気候変動が小規模農家に与える影響について話を聞かせてくれました。「気候変動の影響で、私たちが地域でこれまで使っていた品種では何も生産できなくなってしまいました。毎年のように雨季が突然、しかも雨が一番必要な9月初旬に終わってしまうようになりました。なので、今では、地域の誰もが、早く成長する新しい品種を使っています。そうでなければ、もう何も収穫できません。」
SAAのモニタリング評価事業部の調査によれば、気候変動対応型農業モデルを導入した2つの農作物取引センターに所属するメンバーのうち83%が、導入された技術が効果的であったこと、そして、85%が、自分の農地に適応した技術を見つけることができたと報告されています。
また、キネ・ソゴバ氏は、新しい農業技術の利点についても話してくれました。「種子のプライミング処理は品質の悪い種子を特定し、除去する上でとても有益です。また、残った種子は生育が促進されるので、翌日には発芽を始めます。以前のやり方では、種子が発芽するまでに、3日から5日待たなければなりませんでした。これはSAAの気候変動対応型農業モデルで導入された技術の素晴らしさの一例だと思います。」
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