SAA・パートナー大学フォーラム、エチオピアにおける農業普及員教育の進展を確認

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2025年12月5日
大学フォーラムにおける集合写真(2025年11月13日、アディスアベバ)
大学フォーラムにおける集合写真(2025年11月13日、アディスアベバ)

2025年11月13日、ササカワ・アフリカ財団(SAA)エチオピア事務所は、首都アディスアベバにて大学フォーラムを開催しました。本フォーラムには、政府省庁、地方行政、公務員人材育成機関、ならびに10のパートナー大学から計65名が参加しました。会合では、新たなカリキュラムの立ち上げ、中堅農業普及員の研修プログラムの進捗確認、農業教育における持続可能性の課題について議論が行われました。

本フォーラムは、「中堅農業普及員の能力強化:振り返り、課題、そして持続可能性に向けた戦略的道筋」をテーマに開催され、SAAエチオピア事務所のエルミアス・アバテ副所長が開会の挨拶を行い、フェンタフン・メンギスツ所長より戦略的な最新動向が共有されました。また、能力強化技術コーディネーターのテスファイ・ワーク博士からは、パートナー大学で実施中の研修プログラムの進捗状況が報告されました。

ササカワ・アフリカ財団エチオピア事務所 エルミアス・アバテ副所長がフォーラムで挨拶する様子

フォーラムでは、雇用者側のニーズを踏まえ、アムハラ州におけるSAAとパートナー大学が、新たに4分野(天然資源管理、作物科学、畜産、園芸)で分野横断型の農業普及教育カリキュラムを発表しました。これらのカリキュラムは、関係機関との継続的な協議を通じて策定されたもので、地域および国家レベルの優先課題と整合し、農業分野の変革を加速させることを目的としています。

同カリキュラムは、計60の専門的な研修モジュールで構成されており、現在、バヒルダール大学、ゴンダール大学、ウォロ大学の3大学において導入が開始されています。加えて、コンボルチャ、ウォレタ、メルト・レマリアムの3つの農業技術・職業教育訓練校においても、順次導入が進められています。

これまでの大きな成果の一つとして、バヒルダール大学、ゴンダール大学、ウォロ大学の3大学において、計1,425名の農業普及員が同プログラムに受講の申し込を行ったことが報告されました。また、受講者の57%が女性で占められており、農業教育分野におけるジェンダー平等の推進に向けた重要な前進として評価されました。さらに、農業技術・職業教育訓練校においても、追加で1,483名の学生を受け入れる計画が進められています。

登壇者からは、農業普及員の学歴水準向上の必要性が指摘されました。アムハラ州農業普及局長のケグナズマチ・メスフィン氏は、同州の農業普及員の約65%が、専門学校等におけるディプロマ(準学士相当)レベルにとどまっている現状に言及しました。その上で、分野横断型の新たな普及教育カリキュラムを通じ、学士号(学部レベル)への引き上げを図る必要性を強調しました。

参加者からは、SAAによる能力強化プログラムの着実な拡大と、エチオピア農業開発への貢献に対して高い評価が示されました。本プログラムは1997年にハラマヤ大学から始まり、現在では11大学に展開されています。これまでに計2,344名の修了生を輩出し、現在も2,130名が在籍しています。

一部の大学において終了した事業もありますが、多くのプログラムは各大学によって自立的に継続されています。現在は、技術的助言や継続研修を中心とした後方支援を通じて、質の維持・向上を図っています。さらに、SAAが開発したeラーニング・プラットフォームは、プログラム提供の裾野を広げる重要な基盤として、参加大学から高く評価されました。

フォーラムの各セッションでは、各機関からこれまでの成果や直面している課題、今後の計画が共有されました。特に、地域課題解決実践研究(Supervised Enterprise Projects:SEP)の重要性が改めて強調される一方で、予算の制約が大きな課題として指摘されました。また、複数の大学からは、SEPに取り組む学生に対する雇用者側の支援、とりわけ資金面での支援が一貫していない現状が報告されました。

左から:ゴンダール大学 カッサフン・テゲネ副学長 、SAAエチオピア事務所 フェンタフン・メンギスツ所長、ウォロ大学 ビルハン・アスマミエ副学長 (討議の進行役)

これらの課題に対応するため、参加者からは、資金源の多様化に加え、SEPの計画・実施・評価の各段階における雇用者の関与を強化する必要性が提言されました。これを受け、関係者は、SEP事業の持続的な資金確保を目指した共同提案書を作成することで合意しました。さらに、教育省の要件に沿って全国的にカリキュラムの調和を図るとともに、その実施プロセスを監督する委員会を設置することについても合意されました。

本フォーラムは、SAAがエチオピアの農業分野における能力強化を引き続き主導していくことを確認するとともに、同国の「エチオピア教育開発ロードマップ(2018~2030)」および、2040年までの国家的繁栄を掲げる「農業・農村開発政策」との整合性を示す機会となりました。

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