SAAウガンダ事務所長 Robert Anyangによる寄稿文 「アフリカの農業変革に向けたカンパラ宣言の活用」がメディアに掲載されました
2025年1月9日から11日にかけてウガンダのカンパラで開催された、ポスト・マラボ「包括的アフリカ農業開発計画(Comprehensive Africa Agriculture Development Programme(CAADP))」に関するアフリカ連合(AU)首脳サミットの成果について論じた、ロバート・アニャンSAAウガンダ事務所長による寄稿文がメディアに掲載されました。
「アフリカの農業変革に向けたカンパラ宣言の活用」と題された本オピニオン記事は、カンパラ宣言の採択に焦点を当てており、Africa Business CommunitiesやAfrica Briefingなどのアフリカを拠点とする複数の著名なオンラインメディアに掲載されています。
本記事は、アフリカにおける経済成長と食料安全保障を支える強靭で包括的、そして持続可能な農業を実現するためにはステークホルダー間の協働と投資が急務であると強調しています。
記事全文(日本語訳)は下記よりご覧ください。
アフリカの農業変革に向けたカンパラ宣言の活用
先日、カンパラで開催されたポスト・マラボ「包括的アフリカ農業開発計画(CAADP)」サミットは、アフリカの農業の未来にとって画期的な転換点となりました。今回のカンパラ宣言の採択により、アフリカの指導者たちは、アフリカ連合の「アジェンダ2063」と国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、農業成長の加速とフードシステムの変革に取り組むことを改めて強調しました。
2014年のマラボ宣言の抱負を踏まえ、カンパラ宣言は、農業の変革を通じて食料安全保障を達成し、持続可能な雇用を創出し、包括的な成長を促進するというアフリカの決意を改めて表明しています。持続可能な農業の実践、強固なバリューチェーン、民間セクターの積極的な参画が重要な役割を果たすことを強調しており、これらはすべて、研究、イノベーション、エビデンスに基づく政策立案によって支えられています。
カンパラ宣言は、アフリカの農業の未来に向けた壮大なロードマップを掲げています。気候変動へのレジリエンス、食料および栄養の安全保障、バリューチェーンの開発、女性や若者を対象とする包括的な政策など、いくつかの重要な分野における早急な行動を呼びかけています。これらの目標を達成するには、多様なステークホルダー間のパートナーシップを育みながら、研究、インフラ、農業普及サービスへの投資を優先することが不可欠です。
この変革的なアジェンダを振り返ると、現地の組織の役割がますます重要になってきていると考えます。 農家やバリューチェーンの関係者に直接影響を与える、実用的でスケールアップ可能な取り組みが成功の鍵となります。
アフリカの農業の未来は、レジリエンスをどのように高められるかにかかっています。フードシステムを脅かす気候変動の課題に取り組まなければ、カンパラ宣言の壮大な目標は達成できません。幸いにも、この変革は単なる理想ではなく、政府、開発組織、民間セクターの協調的な取り組みによって、すでに動き始めています。なかでもササカワ・アフリカ財団(SAA)は、カンパラ宣言のビジョンと極めて近い、農家中心のアプローチで注目されています。同団体が最近出版した、小規模農家を対象とした持続可能な農業の実践方法をまとめた包括的なガイドブック“A Basket of Regenerative Agriculture Technologies for the Improvement of Soil Health in Africa 50 Technologies for On-farm Demonstrations”などのイニシアティブは、発展中の革新的なストラテジーを示しています。この本は、政策立案者、研究者、そして農家自身が自然資源を守りながら農業生産性を向上させるために必要なツールを提供します。
さらに、より健康で強靭なアフリカを築くためには、栄養の改善が不可欠です。栄養に配慮した農業、すなわち栄養不良に取り組み、食生活の多様性を促進する農業がカギとなります。例えば、栄養強化トウモロコシやビタミンAを多く含むオレンジスイートポテトのような栄養価の高い作物を普及させることは、栄養バランスのとれた食生活の実現を可能にします。SAAのプログラムでは、これらの作物を農業システムに組み込むことで、農業とは食料を供給するだけでなく、栄養を与えるものでもあることを示しています。
アフリカの農業がその潜在能力を最大限に発揮するためには、インクルーシブネスが変革の中心になければなりません。アフリカ全土で、若者や女性に対象を絞り、農業起業家として成功するために必要なスキル、指導、リソースを提供するイニシアティブが行われています。こうした取り組みは、単に条件を平等にするだけでなく、眠っている潜在能力を解き放ち、公平な成長を促進することを可能にします。
しかし、インクルーシブネスだけでは十分ではありません。真に強靭なフードシステムは、農家の市場へのアクセスの確保から、収穫後ロスの削減、そして農産物の適正価格の保証まで、バリューチェーン全体に対処する必要があります。これらの要素は、持続可能な生活を創出し、より強固な農業経済を構築するために不可欠です。
カンパラ宣言は、アフリカの農業変革におけるすべてのステークホルダーに対するアクションを呼び掛けています。政策立案者は、インフラ、市場アクセス、規制枠組みが農業の進歩に貢献するよう、実現可能な環境を整えなければなりません。開発パートナーと民間セクターは、必要な変化を促進するために投資を拡大し、革新的なソリューションを提供しなければなりません。この宣言は、農業が単なる一産業ではなく、アフリカ経済の基幹であり、その発展の礎であることを再認識させます。今こそ、共通のビジョンを掲げ、アフリカの農家とそのコミュニティに継続的な利益をもたらすよう、あらゆる取り組みを実行に移す時なのです。
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