2025CAADPサミットのハイライト
2025年1月9日から11日にかけて、ポスト・マラボ(*1)「包括的アフリカ農業開発計画（Comprehensive Africa Agriculture Development Programme（CAADP））」に関するアフリカ連合（AU）首脳サミットがウガンダのカンパラで開催されました。この会議には、アフリカの農業の未来を再構成するために、各国の首脳や政府関係者、政策立案者、開発パートナー、その他の主要なステークホルダーが集まりました。
CAADPは2003年の発足以来、アフリカの農業開発の要となり、食料安全保障、栄養、雇用創出、農村部の貧困削減の強化に重点を置きながら、環境のサステナビリティを推進してきました。主な目標には、農業の年間成長率6%の達成と、アフリカ連合（AU）加盟国が国家予算の少なくとも10%を農業分野に割り当てることを確保することが含まれています。

*1 「ポスト・マラボ」とは、2014年に採択された「マラボ宣言」を踏まえた次のステップを意味します。マラボ宣言では、アフリカにおける持続可能な農業の推進や貧困削減の加速が重点課題として定められ、今回のサミットではその成果を再評価し、今後の方向性が議論されました。

SAAの展示ブース
ササカワ・アフリカ財団（SAA）からは、北中理事長をはじめメル・オロウチ戦略パートナーシップ事務所長、ステラ・カビリ環境再生型農業担当リード・スペシャリスト、エチオピア・タデッセ広報責任者、ルース・オニアンゴ名誉顧問、ロバート・アニャンウガンダ事務所長、ジョセフ・ブベンバ副事務所長が参加しました。
サミットでのSAAの展示ブースでは、ポストハーベスト試作技術の紹介や、情報・教育・コミュニケーション（IEC）資料の配布を行いました。ブースには、ジョセファ・レオネル・コレイア・サッコ・アフリカ連合委員会（AUC）農業・農村開発・ブルーエコノミー・持続可能な環境担当委員をはじめ、政策立案者、農業専門家、農家が集まり、SAAの革新的なソリューションや現在実施中の取り組みを紹介しました。

ジョセファ・レオネル・コレイア・サッコ・アフリカ連合委員会（AUC）農業・農村開発・ブルーエコノミー・持続可能な環境担当委員

また、北米農業普及ネットワーク（NAAAN）上級顧問のデビッド・ニールソン博士も訪れ、ルース・オニアンゴ名誉顧問と意見交換を行いました。

デビッド・ニールソン博士と交流するルース・オニアンゴ名誉顧問

カンパラCAADP宣言：2035年に向けたアフリカのアグリフードシステムの変革
サミットは、カンパラCAADP宣言と、10年間のCAADP戦略とアクションプラン（2026-2035）の採択で幕を閉じました。同戦略は、2050年までにアフリカで25億人に達すると予測される急速な人口増加の課題に取り組み、変革的な目標を示しています。この戦略では、2035年までに農業生産性の倍増、収穫後ロスの50％削減、農産物のアフリカ域内貿易の3倍増、農産物のGDPに占める現地加工食品の割合を35％に引き上げることに焦点を当て、アフリカのアグリフードシステムを変革することを目指しています。

ウガンダのヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領は開会演説で、食料安全保障と農村世帯の持続可能な所得を達成するためには、付加価値と産業化が不可欠であると強調しました。また、アフリカ大陸における農業を発展させるため、非関税障壁の撤廃とアフリカ域内貿易の促進を呼びかけました。
ムーサ・ファキ・マハマト・アフリカ連合（AU）委員会委員長は、前回のマプト宣言とマラボ宣言の達成に向けた進捗が遅れていることを指摘し、説明責任と新たなコミットメントの必要性を強調しました。また、30歳未満の人口が70％を占め、60％が農業に従事しているというアフリカの人口学的なアドバンテージを強調し、農業分野の革新と成長を促進する重要なチャンスであると述べました。さらに、「アフリカには豊富な資源があるにもかかわらず、何百万人もの人々が食料不安に苦しんでいる。この傾向を覆すために、機械化、デジタル化、最新の農業技術に投資していく必要がある」とも述べました。

サミットは、経済変革の原動力として農業を優先させるという、アフリカのリーダーと関係者の共同誓約で締めくくられました。新しいCAADP戦略とアクションプランの採択は、アジェンダ2063のビジョンである 「The Africa We Want」の実現に向けた重要な一歩となります。 カンパラ宣言は、革新的で拡張可能なソリューションを通じて小規模農家を支援するというSAAのミッションと完全に調和しています。SAAは、カンパラ宣言とCAADP戦略・アクションプランを推進するため、政府、開発パートナー、農家、ステークホルダーと協力しながら、食料安全保障と豊かなアフリカの実現を目指していきます。