イスラム開発銀行との連携強化:カノ州農牧畜開発プロジェクトのナイジェリア各州および西アフリカへの展開に意欲

ニュース
2024年10月23日
KSADP会合にて、SAAナイジェリア事務所のヒストリーブックをお披露目するSAAのアミット・ロイ会長(左)とカノ州のアミヌ・グワルゾ副知事(右)
KSADP会合にて、SAAナイジェリア事務所のヒストリーブックをお披露目するSAAのアミット・ロイ会長(左)とカノ州のアミヌ・グワルゾ副知事(右)

カノ州農牧畜開発プロジェクト(KSADP)は、イスラム開発銀行がカノ州政府に資金提供する9,000万ドルのプロジェクトであり、州内44の地方自治体における小規模農家の農業を変容させ、農作物および家畜バリューチェーンにおける小規模アグリビジネスの開発を目的としています。SAAは、カノ州政府から2020年~24年の5年間で2,131万ドルの資金を受け、農業資材へのアクセス、付加価値の向上、気候適応型の農業、アグリビジネスの開発、農家のキャパシティ・ビルディング、収穫後ロスの削減、市場へのアクセスを通じた農業生産性の向上に係るプロジェクト実施を担ってきました。

今回、KSADPのプロジェクト終了に向け、2024年10月7~8日、ナイジェリア カノ州にて、「農業変革と成功の要因:カノ州農牧畜開発プロジェクト(KSADP)の作物バリューチェーンからの洞察(Agricultural Transformation and What Works: Reflections from the Crop Value Chain of the Kano State Agropastoral Development Project」をテーマにワークショップが開催されました。ヴィタリス・オルテス氏がオルセグン・オバサンジョ前大統領の代理として議長を務めた本会合では、KSADPの成功事例と教訓が紹介され、イスラム開発銀行の他州への支援拡大とモデル展開の可能性を検討する場となりました。

本会合には、州政府、州の農業委員、国際開発機関、民間部門、教育機関、研究機関および農家、235名が出席しました。イスラム開発銀行の加盟国であるベナン、ニジェール、シエラレオネ、コートジボワール、ギニアからの出席者もありました。

ゴンベ州、ジガワ州、カツィナ州、ベヌエ州の政府関係者は、KSADPのプロジェクトサイトの視察および受益者との交流を通じて、同プロジェクトがカノ州の農業セクターに与えた影響力を体験しました。そして、ナイジェリアの主要な農業地帯である各州で、同モデルを再現する意欲を表明しました。

中でも、ゴンベ州とジガワ州はSAAナイジェリア事務所と両州の農業開発促進を目的とした10年間のパートナーシップMoUを更新しました。

カノ州知事代理のアラジ アミヌ・グワルゾ氏は、KSADPが州内の他の分野、特に中小企業の成長の基盤となっていることを強調しました。また、KSADPモデルの導入に関心のある他の州に対して、協力を呼びかけました。

イスラム開発銀行の農業・水資源・農村開発部門長のニザル・ザイド博士は、ナイジェリアの各州が農業目標を達成できるよう同行が引き続き支援を行うことを再確認しました。また、ナイジェリアはイスラム開発銀行の主要なステークホルダーの一つであり、KSADPのほか、最近では2024年3月にアビア州統合インフラプロジェクトのための資金が承認されたことに言及しました。

SAAのアミット・ロイ会長は、KSADP実施における各関係者の協力に深い感謝の意を表明し、インパクトのある結果を達成するには強力なパートナーシップが重要であると強調しました。

日本財団の笹川陽平会長はビデオメッセージを寄せ、1992年以来、SAAの活動を長年支援してきたナイジェリア政府およびカノ州政府に感謝の意を表しました。SAAの北中真人理事長は、特に環境の持続可能性と農業生産性のバランスに関して、気候変動に直面する農家の声に耳を傾けることを組織の使命とし、SAAがコミュニティ全体に対する取り組みを拡大するためにデジタルツールを活用する計画を強調しました。

SAAナイジェリア事務所のゴッドウィン・アサー所長は、KSADPを通じ、カノ州が食料安全保障と気候回復力のモデルとなっていると評価し、同モデルの導入を検討する州に対し、イスラム開発銀行の農業資金を検討するよう促しました。同氏は参加者に対し、「今日、皆さんにカノ州の成功を見ていただきました。このモデルは、あなたの州でも大規模に実現できます。SAAはその支援を惜しみません」と語りました。

会合では、カノ州政府が機械化農業イニシアティブを発表し、コンバインハーベスター、ミニバン、ソーラー灌漑ポンプなどの農業機械を農家に配布しました。

カノ州で開催されたKSADPワークショップの様子

会合期間中、SAAは、元イスラム開発銀行副総裁で現在は産業銀行の理事長を務めるマンスル・ムクタル博士に感謝状を授与しました。

また、モハメド・カリド・オスマン教授による著書「Sasakawa Africa Association: Three Decades of Fight against Poverty and Hunger in Nigeria(ササカワ・アフリカ財団:ナイジェリアにおける貧困と飢餓との闘い30年)」の発表が行われました。


関連メディア掲載記事

  1. Prime Time News: Sasakawa-KSADP Boost Food Security in Kano State – Yusuf
  2. Newsworth Magazine: Gov. Yusuf Commends Sasakawa Africa Association and KSADP for Boosting Food Security
  3. Nigerian Tribune: Sasakawa Facilitates Deployment of 12 Combine Harvesters, Smart Irrigation System to Kano

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