SAAと日本財団の共同視察:活動の軌跡をウガンダの現場で確認
2024年7月、ササカワ・アフリカ財団(SAA)は、笹川陽平会長をはじめとする日本財団代表団の参加のもと、ウガンダのプロジェクトサイトを巡る視察を実施しました。アミット・ロイ会長はウガンダ事務所スタッフと共に、同国の農業の発展や若者のエンパワメント、経済成長に貢献してきたSAAの活動を紹介しました。今回の視察は、SAAが日本財団と共に、持続可能な農業の進展にコミットし、新たな協力機会を探求することを示すものです。
◆ウガンダ大統領および国務大臣と会談
ウガンダを訪問中、笹川会長とSAA一行は、ウガンダのヨウェリ・ムセベニ大統領およびブライト・ルワミラマ農業副大臣と会談しました。これは、ウガンダの農業セクターの強化に対するウガンダ政府とSAAの高いレベルでの協力関係とコミットメントの証です。(https://statehouse.go.ug/president-museveni-meets-nippon-foundation-chairman-yohei-sasakawa/)
ムセベニ大統領は、ウガンダの農業変革に対するSAAの貢献を評価するとともに、2001年に笹川会長がジミー・カーター元米国大統領とともにウガンダを訪問した際に行った会談を振り返りました。また、ムセベニ大統領は自身のTwitterに、「昨日、日本財団会長の笹川陽平氏と会談し、ウガンダの小規模農家に支援について話し合いました。これらの取り組みは、50万人以上の農家に恩恵をもたらし、若者の雇用を創出し、農業生産を大幅に向上させる可能性を秘めています。政府はこれらのSAAの取り組みを全面的に支援します」と投稿しています。
また、ブライト・ルワミラマ副大臣は、継続的なパートナーシップと支援の重要性を強調し、「農業の発展と農家支援におけるSAAの役割は極めて重要です。私たちはSAAの支援に感謝し、ウガンダのより多くのコミュニティに恩恵をもたらすよう、これらの取り組みを拡大していくことを期待しています」と述べました。
◆農業革新へのビジョン
笹川会長は、世界的に食料の安全保障が課題になる中、自給自足の農業実践がいかに重要かに触れ、「ウクライナの紛争により、各国が食料の安定的な供給を確保するには、輸入に依存しない食料供給を実現する農業の必要性が浮き彫りになりました。SAAが農家と深く関わり、推進する改良技術は素晴らしく、重要な進歩だと思います」と述べました。
また、SAAの活動を支える「Never give up」の精神を評価した上で、日本財団によるウガンダの農家への継続的な支援を約束し、「これまでの活動成果は素晴らしいものです。ウガンダは食料生産を強化し、より自立した食料確保の道を歩んでいくでしょう」と話しました。
◆農業を繁栄するビジネスへと変革
ロイ会長は、ウガンダの農業が従来の自給自足型から強固なビジネスモデルへと移行したことに触れ、農産物を受け入れるマーケットの拡大や生産技術向上の重要性を述べました。
「ウガンダの農業は、家族を養う自給農業からビジネスへと転換しました。また、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の設立は各国間の貿易を促進し、市場を拡大する上で重要な役割を果たしました。」
また、「潜在的可能性」を具体的な経済的利益に変容させる重要性に触れ、SAAが北部カラモジャ地域で取り組む小麦生産を評価しました。「小麦の生産を導入することで、輸入小麦への依存を緩和するとともに、地元の農家に経済的利益をもたらしています」とロイ会長は話しました。
さらに、情報技術が農業の近代化に果たす役割についても触れ、「スマートフォンの普及により、生産者が中間業者を介さず直接消費者とつながることができるようになり、市場の効率性が向上しました」と説明しました。
◆日本からウガンダへの農業投資
駐ウガンダ笹山拓也日本大使は、日本が農業への投資に重点を置いていることに触れ、「日本はウガンダの農業セクターを支援することに尽力しています。日本の肥料会社からの投資により、ウガンダの農業発展に貢献することが期待されます」と述べました。
また、ウガンダの生産性向上が世界の食料安全保障に貢献することに期待をにじませ、ウガンダの農業生産性の向上が、ウガンダと世界の食料安定供給の課題解決に貢献することを応援したいと話しました。
◆農業開発と若者のエンパワメント
現場訪問では、農業センターZAABTA(Zirobwe Agali Awamu Agri-business Training Association)を訪問。能力開発研修やインフラ整備、様々な農業関連サービスを通じて近隣農家を支援するSAAの多目的農業共同組合(ワンストップ・センター:OSCA)の取り組みを視察しました。
若手による農業法人「FARMACY」への訪問では、SAAの支援により、一農業法人が持続可能な農業と若者のエンパワメントの拠点へと進化した過程を確認しました。同法人のトゥムクンデさんは、「バイオ炭の活用により資材コストが大幅に削減されました。ピートモスに代わる費用対効果の高い代替品として利用しています。また、SAAの支援により、能力開発研修やマーケットとのつながりも構築され、若者たちが生産性を最大限に高めることが可能になりました」と話します。
その他、ボダボダ(バイクタクシー)運転手から有望な農家に転身したキセカ・エドワードさんや、若者の能力開発を支援するZIKA(Zirobwe Kalagala Youth Multipurpose Cooperative)の活動は、SAAの支援が成功を後押しした事例です。
◆若者たちに力を与え、イノベーションと近代化で農業を変革
SAAウガンダ事務所のアンヤン・ロバート所長は、若者たちには農業を変容し、雇用を創出していく力があると述べ、若者たちに向けて農業をダイナミックで収益性の高いキャリアとして捉え、機械化サービス、デジタル技術、アドバイザリーサービスなどの機会を利用するよう促しました。そうすることで、従来の農業を近代化し、未来世代の農業の持続可能性と生産性を保証することができると述べました。
◆国家開発における農業の役割
農業省コニー・アカイヨ局長は、SAAと地方自治体の緊密な連携について評価し、「ササカワ・アフリカ財団がパートナーと連携し、自治体と共に農業開発に取り組んでいることは称賛に値します。SAAのイニシアティブは、国家開発計画に合致しており、農業セクターの発展に不可欠です。」として、SAAの取り組みはウガンダの国家開発計画(NDP)に一致していると述べました。
また、ワンストップ・センター(OSCA)のような取り組みを継続的に拡大する必要性に触れ、「多目的農業共同組合の設立と拡充は、効率的な農業経営とSAAの活動インパクトの最大化に非常に重要です」と話しました。
本視察では、SAAと主要ドナーである日本財団が主導する近代的な農業技術の推進や若者のエンパワメントに向けた取り組みが変化をもたらし、ウガンダの農業の変革に向けた決意を一層強化し、輸入に依存しない、活気ある農業セクターへの道筋を切り開いていることが示されました。
SAA 出版物のご紹介
E-ニュースレター
"Walking with the Farmer"
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サクセスストーリー
Voices from the Field Special Edition 2022
「現地からの声」の記事を特別編集版としてまとめました。