SAAウガンダ事務所が年次ステークホルダー会合を開催

ニュース
2024年2月15日

2024年1月23日、ササカワ・アフリカ財団(SAA)ウガンダ事務所は、ウガンダの首都カンパラのフェアウェイホテルにて、年次ステークホルダー会合を開催しました。関係者が一堂に会し、「所得、食料、栄養の安全保障に向けた気候変動緩和策」をテーマに、気候変動に伴う農業の課題を共有し、2024年の活動計画を議論しました。

同会合には、ウガンダ農業畜産水産省や地方政府、民間企業、農業開発パートナー及び地域の農家など多様なセクターから100名以上の参加がありました。

SAAウガンダ事務所のジョセフ・ブベンバ事務所長代理は、小規模農家の生計向上には、パートナーの協力が不可欠であると強調した上で、農家学習プラットフォームやCATと呼ばれる農業資材共同購入サポーター/ビレッジ・エージェント・モデル(農産物と市場のリンケージを構築するモデル)など、さまざまな普及モデルの開発と展開を通じて技術普及に取り組むSAAの活動を紹介しました。

北中理事長は挨拶の中で、SAAの農業技術/知識の普及活動は、ウガンダの国家開発戦略であるパリッシュ・デベロップメント・モデル(PDMに合致するもので、2023年は、モニタリング・評価システムの強化や農家グループの能力開発、特に多目的農業協同組合の活動拠点となるワン・ストップ・センター(OSCA)を整備し、大きな一歩を踏み出した年であったと強調しました。2024年は、活動をさらに前進し小規模農家の暮らしを向上させるため、パートナーとの協力関係を一層強化していきたいと述べました。

ウガンダ農業畜産水産省 農業普及局のジョセフ・オケ氏は、農業普及における組織間連携の重要性に触れ、農業普及サービスを強化するために資源と知識を結集するよう呼びかけました。また、農業は様々な分野と関連性のあるセクターであるとし、農業普及サービスの支援はバリューチェーン全体に利益をもたらすと述べ、気候変動に対処するために革新的な技術を導入するためのアクションを提唱しました。

農業畜産水産省 常任事務次官のスティーブン・ティベジュカ委員は、農業を集約と拡張の双方に導くため、農家が戦略的に営農する重要性を強調しました。また、育種や農業機械を含む農業技術の普及等、農家が収益性を高めるための支援をSAAに呼びかけました。また、農作物保護、食品汚染、農業保険の重要性についても触れ、小規模農家や農家グループが国際市場に通用する高品質の農産物を生産できるよう政府として支援していく姿勢を改めて強調しました。

会合では、農家や販売業者による農薬に関する知識不足が食品汚染のリスクを高めている一因であるという指摘も出ました。農薬には一定のメリットがある一方、誤まった使用は農家の健康、自然環境の破壊、マーケットでの信用喪失などのリスクを伴います。

SAA2023年の実績と2024年の事業計画
SAAの環境再生型農業リード・スペシャリストであるステラ・カビリ博士は、農薬の適正使用には農家に対する研修が重要であるとし、SAAは、さまざまなプログラムを通じてアフリカの農家約300万人にリーチしていると述べました。

そして、土壌の健全性に注目し、費用対効果の高い環境再生型農業を実践するよう提唱し、農家に対し、間作、作物残渣の圃場への還元、カボチャのような被覆作物の栽培など、実践的なアドバイスを行いました。また、マルチングに落ち葉などの自然素材を利用したり、水利に蟻塚を利用することを奨励。土壌の肥沃度と生産性を高めると同時に、より持続可能で環境に優しい農業システムとして農薬への依存を減らすことができると述べました。

キボガ県の農家、ムサ・ブゲンベさんは、SAAの取り組みは、農家が質の高い農産物生産に必要な知識(適正農業規範:GAP)の習得を支援し、コミュニティの農業慣行を向上させたと述べました。一方、農作物の品質維持には、各農家の取り組みをモニタリングする必要性を述べ、農家が生産物の品質に責任を持つことが、農家自身の収益性と持続可能性に貢献すると述べました。

会合では、農業普及における重点課題、「回復力のある環境再生型農業」や「自然を基盤とした農業生産」等をテーマにパネルディスカッションが行われ、政策、キャパシティ・ビルディング、パートナーシップ、デジタルを活用した包括的なサービスなどの重要性が議論されました

閉会の挨拶では、アンデ・オキロ(市場志向型農業プログラム・コーディネーター)が、参加者に謝意を表明し、会合で議論された課題にパートナーと共に取り組んでいくことを約束しました。SAAは、今後もパートナーと連携して活動状況をモニタリングするとともに、モニタリング結果から得られた課題や改善策を反映した活動を実施していきます。

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