ウガンダ東北部カラモジャ地方で新たな農業ハブを立ち上げ
ササカワ・アフリカ財団(SAA)は、ウガンダ北部の2か所において、地域の農業拠点となる多目的農業協同組合(コレ県のバラ女性・ユース協同組合、ナパック県のアペイトリム農家組合)の活動拠点となるバリューチェーンセンター(通称ワン・ストップ・センター)の立ち上げを行いました。同施設は、日本外務省のNGO連携無償資金協力による「多目的農業協同組合の活性化・電子化推進プロジェクト(Revitalization and Digitalization of Multipurpose Agricultural Cooperatives in Uganda)」の一環であり、市場志向型農業の推進と農村の貧困削減を目的としています。
コレ県の開所式典には、福澤秀元在ウガンダ日本国大使が、ナパック県では、ブウィノ・キャクラガ・フレッド副農業大臣が立ち合われ、完成した施設がそれぞれの組合に引き渡されました。本催事には、合計1,000名を超える関係者(農家・自治体職員・国際機関職員・アグリビジネス関係者など)が集結しました。
福澤大使はご挨拶の中で、2023年3月に開始したプロジェクトが無事完了したことに喜びを表明し、同施設を積極的に活用するよう農家に呼びかけるとともに、同施設の稼働が地域にもたらす変革の可能性に期待を寄せました。2か所の組合施設は、穀物貯蔵庫、メイズ製粉機、資材店、事務所、貯水タンク、トイレ、ソーラー式灌漑システムなどを備え、年間を通じて農業生産ができるよう設計されています。
本プロジェクトは、現地政府から農業開発における包括的なアプローチとして高く評価されています。ウガンダ農畜水産省のロドゥンゴコル・ジョン氏は、SAAが農家グループに知識の移転を行うだけでなく、最新技術を導入したことを高く評価し、野菜や穀物の加工/付加価値、灌漑システムを備えた施設は、ウガンダの「国家開発計画(NDP)III」における農業産業化アジェンダに合致するアプローチであると述べました。
SAAウガンダ事務所ジョセフ・ブベンバ副所長は、気候変動による影響を緩和する上で、プロジェクトが果たす役割は重要であるとし、通年生産を可能にすることで、農家の収入向上、栄養強化、食料の確保を目指すと強調しました。また、同施設は、貯蓄、資材の購入、研修や共同集出荷など農家があらゆるサービスを利用することができる地域の総合的な農業拠点になると期待を述べました。
バラ女性・ユース協同組合のアイダ・アビア代表は、計画当初は懐疑的な声もあったが、今では地域内外の関心を集める取り組みになった、と、現在までの道のりを振り返りました。また、住民と地域の学生の両方に対する技術普及を進めていくことが重要であると話しました。
SAAのアンデ・オキロ市場志向型農業プログラム・コーディネーターは、「作ってから売る(Grow and sell)」というこれまでの発想から「売るために作る(Grow to sell)」という市場志向型アプローチへの転換について説明し、農家が市場を意識した営農スキルを身に着ける重要性を強調しました。また、教育、住居、栄養、養鶏や豚舎事業の立ち上げを見据え、本プロジェクトを地域の農家のものとして十分に活用してほしいと呼びかけました。
、これらの取り組みは、カラモジャ地方の農業の収益性と農村部の貧困削減・食料安全保障の強化に寄与することを目指しています。SAAは、パートナーと連携し、持続可能な農業の実践を通じて地域社会のエンパワーメントに取り組んでいきます。
SAA 出版物のご紹介
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"Walking with the Farmer"
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サクセスストーリー
Voices from the Field Special Edition 2022
「現地からの声」の記事を特別編集版としてまとめました。