SAAナイジェリア事務所、年次ステークホルダー会合2023を開催

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2023年3月15日
年次ステークホルダー会合の様子(ナイジェリア・カノ州)
年次ステークホルダー会合の様子(ナイジェリア・カノ州)

2月7日~8日、SAAナイジェリア事務所はカノ州にて、2023年度の年次ステークホルダー会合を開催しました。100名を超えるパートナーや農業関係者が集まり、ナイジェリアの農家や農業バリューチェーン関係者が直面するさまざまな課題を議論しました。

同会合は、「フードシステムのレジリエンス構築~増大する食料需要と気候変動に対応する~」というテーマで開催され、カノ州農業局長、連邦農業農村開発省(FMARD)、国立農業研究所(NARIs)、農業開発プログラム(ナサラワ、カノ、ジガワ、ゴンベ、ナイジャ、カドゥナ州)、大学、民間セクター、農家/農家組織、NGOなど多くの政策立案者やパートナーが参加しました。

SAA北中理事長は冒頭の挨拶で、SAAが1992年以来、ナイジェリア政府と緊密に連携し、農業開発プログラムを通して、農業普及員や小規模農家の農業技術を高め、収量や生産性の向上に貢献してきたことについて述べました。

SAAナイジェリア事務所長のDr. Godwin Atserは、同会合の意義について、農業開発分野のパートナーと円卓を囲み、SAAの前年度の活動実績を振り返りつつ、2023年の実施計画を共有する貴重な場であると述べ、また、環境再生型農業、栄養に配慮した農業、市場志向型農業の3本柱と、キャパシティ・ビルディング、インクルーシブネス、農業のデジタル化という横断的な分野におけるSAAの取り組みを説明しました。

同会合は2日間にわたり実施され、以下ような意見と提言がまとめられました。

  1. 気候変動が農業、特に小規模農家に与える影響を認識し、農業関係者は、それぞれの垣根を取り払い協力して取り組む必要がある。

  2. フィールドでの研究成果を文書化するにあたり、大学を巻き込む必要がある。

  3. 従来の農業普及ネットワークの重要性を改めて認識する。プロジェクト/プログラムは、州による既存の農業開発プログラムと連携し、切れ目なく支援を実施する。

  4. カノ州とSAAの共同プロジェクト・カノ州農牧開発プロジェクト(KSADP)により実施された同州の農業変革の取り組み(特に農業普及システムの再構築)が評価された。

  5. ナイジェリアの農業普及システムを強化するため、農業普及政策文書に署名するよう連邦政府に要請。

  6. 農業普及のデジタル化は、地域の農業や農家の実態に即して行われなければならない。デジタルツールは、人間中心主義の設計(Human-centered Design)であるべきである。また、既存のデジタルツールの認知度を高め、導入と利用を促進する必要がある。

  7. 経済的に持続可能な統合キャッサバ種子システムの構築(BASICS)モデルによるキャッサバ種子のスケールアップが評価された。ナイジェリア北部のキャッサバは既に自給作物から換金作物へ移行されていることから、BASICS-IIプロジェクトの実施と国立農作物種子評議会(NASC)がキャッサバ種子システムの規模拡大を行うことが要望された。

  8. 大学と連携したSAAのキャパシティ・ビルディング、SAFEプログラムに新設される短期コースは、大学関係者に歓迎された。関係者らは、今後、短期コースの実現可能性について、大学側の経営層と話し合うことに合意。

  9. 参加した関係者は、同国の農業普及員と農家の割合が「1:10,000」であることに懸念を示し、政府に対し、州の農業開発プログラムを活性化し効果的に運用するよう求めた。また、民間の普及サービスを含む多元的農業普及モデルの活用が歓迎された。

  10. SAAの介入により農家の収量や収益性が向上しており、SAAモデルを新たな地域に展開することを要望。

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