持続可能な農業の実践がもたらす変化の力
ウガンダ共和国キボガ県ブコメロ郡キバンガ村では、46歳で13人の子どもを持つセルワダ・サイディさんが、持続可能な農業の実践がもたらす変化を体現しています。セルワダさんは長年、大家族を養うために伝統的な農法に頼ってきました。彼は、自分の土地が年々、硬くなりやせていくこと収量が低いこと、投入資材コストが年々上昇していくことへの影響を気にすることなく、激しい耕起、単作、収穫した作物の一部を種子として再利用すること、そして農薬の大量投下といった従来の農法を実践していました。

SAAと歩む農業の旅の始まり
セルワダさんの農業は、2020年に亡くなった妻が、同地域で始まったSAAの支援について知ったことから変わりはじめました。妻に勧められたセルワダさんは、SAAの研修プログラムに参加し、環境再生型農業（RA：Regenerative Agriculture）を含む優れた農業に関する包括的な知識を得ました。彼は、認証種子の使用や、トウモロコシとインゲンマメの正しい栽培間隔、効果的な病害虫管理、土壌の健康維持、家畜と作物の統合、効率的な整地など、持続的な農業に必要不可欠な手法を学びました。さらに、最小耕起、カバークロップ、輪作、マルチング、有機肥料の使用、そして収穫後の処理・管理技術についても研修を受けました。

環境再生型農業（RA）と従来の農法の大きな違い
2021年、セルワダさんは環境再生型農業（RA）と従来の農法による効果を比較するため、2つの0.5エーカーの実証圃場を設置しました。環境再生型農業（RA）を実践した圃場では、最小耕起、有機肥料と無機肥料の併用、整列植え、優良種子の利用を行いました。一方、従来の農法を使用した圃場では、種子の再利用と、肥料を使用しない植え付けを行いました。その結果、驚くべき違いが表れました。環境再生型農業（RA）を実践した圃場の作物はより健康で大きく育ち、そして除草及び収穫も容易に行うことができました。さらに、収穫量も従来の農法を使用した圃場より30％多く、有機肥料と無機肥料、そして農薬の適切な使用により、40％のコスト削減が実現しました。

"まるで昼と夜のような違い"
環境再生型農業（RA）の実践後、セルワダさんは2023年の第2シーズンにおいて、2エーカーから4,000㎏のトウモロコシを収穫し、収入を大幅に増やすことに成功しました。収穫量が大幅に増加する一方で、生産コストは30～40％減少しました。 セルワダさんは次のように語ります。「まるで昼と夜のような違いです。SAAに出会う前は、生活を維持するのに必死でしたが、今では家族を支え、自身の農場に投資し、地域社会にも貢献できるようになりました。」

建設中の7ベッドルームの自宅の前に立つセルワダさん

多くの小規模農家にインスピレーションを与えるモデル農家に
セルワダさんの可能性を高く評価したSAAは、彼をコミュニティ普及員（Community-Based Facilitator：CBF）に任命し、セルワダさんは村の人々に環境再生型農業（RA）の手法を教えるようになりました。セルワダさんはキバンガで尊敬を集める重要な人物となり、モデル農家として、多くの小規模農家に自身の成功を伝えながら、インスピレーションを与えています。最近では、彼は村の地方議会議長に任命され、SAAのプログラムに参加していない農家も含め、地元のすべての農家に環境再生型農業（RA）の実践に関する知識や情報を共有しています。

大きな夢を描くためのツールと自信
セルワダさんは大きな将来像を描いています。彼は現在、次のシーズンの収量を持続的に増加させるため、自身の農園に環境再生型農業（RA）の手法をさらに取り入れることを計画しています。さらに土地を得て、家畜を増やして農園の生産性を高めることを目指しています。自給自足の農家から地域社会のリーダーとなり、農家として成功するまでの彼の道のりは、持続可能な農業実践がもたらす大きな影響を物語っています。セルワダさんは次のように語ります。「いつか農園を15エーカーに拡大し、家族や地域社会にもっと多くのものを提供したいです。SAAの支援は、大きな夢を描くためのツールと自信を与えてくれました。」

SAAの支援がもたらした大きな影響
セルワダさんが、伝統的な自給自足の農家から、持続可能な農業に向けた豊かな地域社会を率先するリーダーへと目覚ましい変化を遂げたことは、SAAの支援がもたらす大きな影響を表しています。SAAはこの成功を他のコミュニティでも再現し、持続可能な農業開発と人々の生活の向上に貢献していきます。