マラウイ

開始年:1998年

終了年:2006年

国別プログラム・ディレクター/コーディネーター:Dr. Jose Antonio Valencia

 

歴史と主な活動:

SG2000マラウイ・プログラムは、農業灌漑省と同省の地方農業開発部門(ADD: agricultural development division)とのパートナーシップにより、1998年末に始まりました。SG2000ナイジェリアから転任したDr. Jose Antonio Valenciaが、マラウイ・プログラムを主導しました。

1998年にSG2000がマラウイで開始されたとき、マラウイでは危機的な食糧不足が数年続いていました。これは干ばつによって状況が深刻化しただけでなく、トウモロコシの収量が低いことにも原因がありました。トウモロコシはマラウイの主食であり、同国の人口一人あたりの消費量は世界でも最も高い水準にあります。3年にわたる大規模な食糧セーフティーネット・プログラムが立ち上げられ、主にマラウイ政府、欧州連合、英国国際開発省(DFID)、世界銀行が資金を提供しました。このプログラムのもとで、農民は、0.1ヘクタールの栽培に必要な種子(トウモロコシ、豆類)と肥料が入った「スターター・パック」を、無料で受け取ることになりました。180万セットのスターター・パックを農民に配布するために、物流面で膨大な努力が注がれました。SG2000マラウイは、現場職員や農民を対象に研修・実証プログラムを実施することで、政府の取り組みを支援しました。

栽培研修圃場 – 栽培研修圃場(MTP: Management Training Plot)は、実践的な直接参加を通じた、農民や現場改良普及スタッフ、主題スペシャリスト、研究者の研修や再教育の基盤となりました。300人以上の現場改良普及指導員が実地研修を受け、初期整地や最適な植付け計画、施肥、雑草駆除、作物保護に重点が置かれました。研修を終えた指導員は、零細農家と協力して、約3万カ所のMTPを設置しました(90%がトウモロコシ)。

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ブランタイヤのMTPで、トウモロコシ技術を農民や現場アシスタントに実例説明するSG 2000/ADDコーディネーター(中央)

MTPの規模は0.1ヘクタールで、国のスターター・パック・プログラムと同じですが、農民に実証する作物管理パッケージが大きく異なっていました。SG2000マラウイでは、スターター・パックで推奨していた栽植密度や施肥では、十分な収量が得られないと考えていました。マラウイの土地保有は大部分がきわめて小規模なため、家族の主食作物であるトウモロコシの供給を確保し、一方で一部の農地を他の作物や農作業に使えるようにするには、トウモロコシで高い収量が必要だったのです。

スターター・パックは無料で配布されていた一方、SG2000マラウイでは、参加農民は支給された投入資材の費用を返済すべきだという方針を維持しました。農民は作物管理について優れた実地研修を受けたため、プログラムに残るためにSG2000からの投入資材用融資を返済しようとしました(融資回収率は常に80%以上を維持しました)。MTP参加農民の平均収量は5.1トン/ヘクタールを達成し、スターター・パック圃場の平均2.6トン/ヘクタールの2倍、全国平均の4倍になりました。

SG2000マラウイは、特にトウモロコシや豆類の生産、土壌肥沃度の回復や維持における、優れた研究や改良普及活動を基盤としていました。主要なパートナーは、マラウイの国立研究機関、国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)、国際半乾燥地熱帯作物研究所(ICRISAT)、国際熱帯農業センター(CIAT)、ロックフェラー財団でした。

土壌浸食を減らし、水分を保ち、作業負荷を軽減する保全耕うん(CT: Conservation Tillage)技術も、プログラムの優先課題でした。参加する5つのADDのそれぞれで、保全耕うんの研修が実施され、数シーズンの間に、200以上のCT実証場が整備されました。農民は、労力軽減のメリットがあることや土壌肥沃度が改善することから、CTの効果を熱狂的に歓迎しました。

全国的に肥料が使用されるようになったことに加えて、種子の改良や十分な雨量があった結果、1999年と2000年のトウモロコシ収穫量は過去最大になりました。ところが、供給過剰によりトウモロコシ価格が大幅に低下したため、高収量生産法は、農民に利益をもたらしませんでした。しかし、トウモロコシの収量が向上したことで、技術的な可能性が見えてきました。ただし、価格の下落からは、生産を多様化し、作付体系に新規作物を加えることが直ちに必要だということが明確になりました。

2000/2001年のシーズンに、プロジェクトでは5つのADDで3,366カ所のトウモロコシMTPを実施しました。陸稲、大豆、ササゲ、キマメの実証も、プログラムに追加されました。このシーズンは洪水や植物病害の問題に見舞われ、残念なものとなりました。その結果、マラウイでは約40万トンの穀物不足に陥り、一部の地域で深刻な栄養不足問題が発生しました。マラウイの大半の零細農家では依然として穀物収量が低いことが、深刻な問題として残りました。

QPMの導入 – 高品質タンパク質トウモロコシ(QPM: Quality Protein Maize)を普及し、その競争優位性を示すため、大規模な実証プログラムが実施されました。その結果、2005年までに5万ヘクタールでQPMが栽培されました。

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マラウイでのワークショップ「パートナーシップを通じた持続可能な食糧安全保障の推進」を前に談笑する、ボーローグ博士とGwanda Chakuamba元マラウイ農務大臣

官民パートナーシップの必要性 –「国内の食糧生産の急速な拡大と、農村の貧困削減に必要なパーツは、すべてそろっていました」と、SAA前会長のノーマン・ボーローグ博士は語っています。「必要なことは、そうした技術的なパーツを組み合わせて、官・民・NGOの連携による協調的なプログラムにすることでした」

マラウイでは、躍進する民間種苗・肥料企業など成長しつつある民間部門が、適切な動員さえ行えれば、政府による零細農家農業開発プログラムを支援するうえで大きな役割を果たすことができるようになっていました。

SG2000マラウイで指摘されていたのは、肥料や改良種子の利用率が低く、使用法が不適切であることや、改良普及活動において技術的なメッセージが効果的に農民に伝えられていないこと、農村に、投入資材や生産物を妥当な価格で売買するためのインフラがないこと、および市場情報システムが脆弱であることが、零細農家の農業の転換を成功に導くうえでの主な制約要因になっている、ということです。

ポストハーベスト問題の再重点化 – 2001/02年シーズンに、SG2000マラウイは、ポストハーベスト処理と技術の問題にさらに力を入れることになりました。SG2000の参加農民は、収穫した穀物のうち最大で30%を失っており、このロスの大部分はオオナガシンクイムシによるものでした。そこでSG2000マラウイでは、この害虫を駆除するための作物保護手段を推進しました。

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学生の1人が実施しているトウモロコシ・プロジェクトについて議論するブンダ校の学生

SAFEプログラム – 笹川アフリカ農業普及教育基金(SAFE)プログラムは、マラウイ大学を構成する5つのカレッジの1つであるブンダ校で2005年に開始され、農業改良普及の分野で、農業生産高と生産性を向上するために必要な有能な人材を輩出することを通じて、マラウイにおける農業開発の取り組みに貢献しようとしました。マラウイのSAFEプログラムは、政府から奨学金が支給されない時期があったために、プログラムに登録する学生が少ないという問題に直面しましたが、約70%の学生がプログラムに参加しました。

 

 

 

 

主な成果:

SG2000マラウイが改良技術を積極的に推進した1988年から2006年の間に、トウモロコシ生産高が100万トン以上増加しました。2006年にトウモロコシが豊作だったことは、マラウイにとって非常に喜ばしいことでした。収量が全国的に回復し、2トン/ヘクタールに迫りました。本プログラムで推奨した改良型作物管理法が、広く採用されたことは明らかでした。

SG2000マラウイは、2006年末に活動を終了するまでに、政府や、マラウイの農業開発に対する支援を継続するミレニアム・ビレッジなどの団体のために、確固たる基礎を築きました。マラウイ政府は、SG2000トウモロコシMTP推奨を、すべての作物栽培実証作業に採用しました。零細農家が科学に基づく農業技術を手にすることの価値が説得力のある形で示されるとともに、現場改良普及スタッフや主題スペシャリストのスキルを強化することの必要性も明らかになりました。効果的なポストハーベスト処理(特に貯蔵)と農産物加工の重要性や、農産業の多様化、零細農家の安定的で効率的な投入資材市場・生産物市場へのアクセスも、本プログラムの顕著な遺産です。

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