テーマ1:農作物生産性向上

Andreas Oswald(ドイツ) テーマ・ディレクター

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詳しい情報は、 スタッフ のセクションをご参照ください。

目標

重点対象4カ国において、農業生産性を向上するとともに、農民および国の農業改良普及システムの能力を強化する。

具体的目標

  1. 生産性ギャップを評価し、農業生産性、生産量および所得の持続的な向上に適切な技術を見極める。
  2. 農業改良普及員と農民を対象とした知識・スキルの生成と伝達のための、効率的で費用効果の高いシステムを確立すべく、キャパシティ・ビルディング活動を開発、適合、改良する。
  3. 十分な支援を受けていない零細農家や女性農家を農業改良普及システムに取り込むための、具体的な改良普及アプローチの開発、評価、実施を行う。
  4. 農業改良普及活動や農業生産性を向上するために、新たな知識、技能、テクノロジーを探求、入手、適応、活用し、また、需要と課題を研究部門その他の関係ステークホルダーに伝える。
  5. 農作物生産性向上をSAAのバリューチェーン・アプローチの中に統合することで、他の分野とのシナジーを生み出し、より効率的に農民を支援する。
  6. 活動の成果の検証、結果や学びの文書化、およびパートナーやステークホルダー、関係団体・機関への伝達に寄与する。

 

発展的アプローチ

農作物生産性向上技術の導入と推進は、1986年の発足以来、SG2000農業プログラムの中核となっています。その重点は、サブサハラ・アフリカの食糧供給の50%を占める穀物に置かれてきました。改良技術のパッケージ(主に肥料と改良品種、作物管理情報で構成されている)が、改良普及実証圃場を通じて300万以上の農家に導入されています。こうした圃場における作物収量は、従来農家が得ていたものより2~3倍多いのが一般的です。こうした潜在可能性にもかかわらず、推奨パッケージ、特に推奨肥料を採用する農家の比率が20~25%を下回っているという見方が有力です。というのも、大部分の零細農家にとっては、このパッケージはあまりにも高価で、また、投入資材へのアクセスが大きな障害となるケースも多くあったのです。

2009年、SAAは参加型指向のアプローチを導入するための新たな取り組みに着手しました。このアプローチでは、農民は改良普及スタッフと協力して、選択肢のメニューの中から自分の環境に最も適していると考える種類の技術を選択します。例えば、SAAでは土壌肥沃度管理について2~3種類のオプションを提供していますが、その中には、化学肥料の投入量を削減して有機肥料の利用を増やす組み合わせもあります。現在、技術促進については、農家の収入拡大(収量や総生産量の増大に加えて)がより明確な目標として条件になっています。そのため、どの技術について実証を行うかを決定する際には、コストやリスクを考慮することにより大きなウエイトが占められるようになっています。

SAAでは、分野1のリソースの70%を、これまで改良普及指導サービスを受けられなかった農民、特に女性農民や資源の乏しい農民、より辺ぴな地域の農民のための支援に配分するようにしています。分野1のリソースの残り30%は、これまで「純食糧販売者(食糧販売額が食糧購入額を上回っている農民)」であった、またはそうなる可能性がある比較的ゆとりのある零細農家に向けられます。ここでの優先課題は高収量の可能性と品質であり、付加価値と所得の最大化に留意します。この活動は、零細農家が市場での取引で成功を収めるために重要となる農民組合を通じて行われます。

作物管理研修

きわめて現場指向の作物管理研修が、農業改良普及の専門技術者(SMS: Subject Matter Specialist)、現場改良普及指導員(EA: Extension Agent)、地域推進員(CBF: Community-based Facilitator)、零細農家、その他投入資材販売業者や育種業者などのステークホルダーを対象に行われています。農民や改良普及指導員、地域推進員に対しては、作期の開始時点、中盤、終了時点で研修が行われます。また、農民組織(分野3が指導するが、分野1にも関わる)のメンバーにも研修が行われます。研修は営利事業としての農業を中心とし、具体的には、計画立案や優先順位の設定、技術の選択、予算策定、費用・便益比較などが含まれます。

農民学習プラットフォーム

SG2000カントリープログラムでは、2009年から、農民学習プラットフォーム(FLP: Farmer Learning Platform)を主な研修・改良普及手法として導入しています。FLPは、技術オプション圃場(TOP: Technology Option Plot)、女性支援実証圃場(WAD: Women Assisted Demonstration)、および農民主導の栽培試験圃場(PTP: Production Test Plot)という3種類の実証圃場で構成されています。

技術オプション圃場(TOP)の規模は通常1,500㎡で、隣り合う3つの小圃場(500㎡)に分かれています。1つ目の小圃場は、国立農業研究センターの公式な推奨農法の実証に充てられます。2つ目の小圃場は、同じ農法でもそれよりコストの低い(中コスト)バリエーション、3つ目の小圃場は、最もコストが低いものの、それでも収量や利益にそれなりの効果がある農法用となっています。

女性支援実証圃場(WAD)は、TOPの簡易版で、特に資源に乏しい女性農民を対象にしています。これまで女性農民は、作物栽培実証などの普及サービスに直接参加することができず、その結果、技術知識や農地での生産力がコミュニティー内の平均を下回っています。WADは、特定の技術の低コスト版(ただし、それでも大きな効果をもたらす可能性がある)になっています。広さは通常、500~1,000㎡。およそ10~15人の女性が1つの「自助グループ」に組織され、WADが割り当てられます。

TOPとWADは、コミュニティーベース及びグループベースの農業研修や技術評価の拠点になります。TOPは、比較的規模の大きいコミュニティーに技術革新を導入するために利用され、コミュニティーベースの実習公開の場となっています。

農民学習プラットフォーム(FLP)研修や実習公開に参加した農民の多くは、実証が行われた新技術のオプションを自分の農地で、自分の費用で試した後、それを採用して生産を拡大するかを最終的に判断します。SAAではこのような圃場を栽培試験圃場(PTP)と呼んでいます。PTP農家は投入資材を購入し、自分が望む広さの農地を利用して、実証されたオプションから自由に選択します。改良普及指導員やSAAプログラムのスタッフが集中的に指導することはありませんが、必要に応じて技術的助言が行われます。

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ネリカ米の TOP(ウガンダ カムウェンゲ県)

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ササゲのWAD(ナイジェリア ジガワ州)

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